分かりやすく説明する矢倉脇システムのつくりかた!~矢倉5手目問題・飛車先の歩はどうするかなど解説!~

将棋盤

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それでは要望があったので、矢倉脇システム駒組解説です!

今回は令和矢倉の組み方で解説しますね!

いくつか組み方はあるんですが、自分が一番好きな組み方で解説します。

こちらは藤井聡太先生も使っている脇システムですね!

①5手目に▲7七銀に上がる理由

(初手から)

▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲7七銀

矢倉の5手目は▲7七銀or▲6六歩ですが、後者は左美濃急戦が脅威なので、プロ間では廃れています。

角道を閉じなければ左美濃急戦にできないので5手目▲7七銀が選ばれているんです。こちらは攻撃力の高さが魅力ですね。

詳しくはこちらを!

②次に飛車先の歩を突く理由

(上図より)△6二銀▲2六歩△4二銀▲2五歩

次に飛車先の歩を突きます。これは後手の急戦矢倉対策ですね。

相手が急戦矢倉にしてきたときに、一方的な攻撃を受けるのではなく、お互いに攻め合う展開にするためにこれをします。▲7七銀型矢倉は、▲6六歩型矢倉に比べて、急戦矢倉に弱い傾向があるので、これはマストです

③フェイントを見せていく


上図より△3三銀▲4八銀△3二金▲3六歩

これはフェイントです。

後手の急戦矢倉が怖いので▲3六歩をついて、早繰り銀やポンポン桂馬の可能性を見せていくと後手も守りに入ってくれる可能性が高まります。これで相矢倉に持ち込む作戦ですね。もちろん、ここから急戦矢倉への移行もOKです!

➃囲い合う

△5四歩▲5八金右△4一玉▲7八金△5二金▲6九玉△7四歩▲5六歩△8五歩

お互いに矢倉に近づけていく作業です。しかし、ここで急戦矢倉も多いので、引き角はできる限り待った方がいいでしょう。

自分ができることがなくなったら角を引きます!

⑤さきに3七銀

▲6六歩△3一角▲7九角△4四歩▲3七銀

矢倉がある程度できたら3七銀です。これは脇システム以外にも3七銀戦法各種に移行できる余地を持っています。角が動くよりも先に銀が3七の地点にいると戦法に幅を持たせることができます。

⑥後手の角が所定の位置に行くまで、先手は角を動かさない

△6四角

後手のこれを待ちます。先手が自分から▲4六角としてしまうと△3三桂~△4五歩という筋で後手から脇システム拒否ができてしまうのです。

⑦脇システム完成

▲6七金右△4三金右▲4六角

右の金はもっと早く動かしても大丈夫ですが、後手が無理くり急戦矢倉をしてきたときに5筋にいた方がバランスがいいので、最後に上げます。

王を入城させるまえに角が動いて、脇システム完成です。

先手はここから矢倉完成~棒銀を狙うのが目標ですね。

後手が一手損して、角交換してくる場合もありますが、打ち込みスペースがあまりないので損しています。

まとめ

①▲7七銀

②飛車先の歩を突く

③フェイントを入れて急戦矢倉を阻止

➃囲い合う

⑤▲3七銀優先し、後手の角が動いたらこちらも動く。

この5つの流れが大事です。

いかがでしたか?

ほかの組み方もありますが、これが一番好きなので紹介しました!

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【NHK杯観戦記】▲渡辺明名人―増田康宏六段~矢倉は、終わらない!!&現代矢倉について~

ということで、今日のNHK杯は矢倉でした!

最近は雁木ブームも終焉に向かいつつあり、矢倉が完全に復活しました。

今回は同型矢倉のような形から、後手土居矢倉でしたね。

増田先生も最近ではかなり矢倉をやっています。

現代矢倉は……

①先手が後手が米長流急戦矢倉をするかどうか

②拒否した場合は同型矢倉になるかどうか

③先後のどちらかが土居矢倉に変形するかどうか

こんな感じの思考の読み合いがあって成立します。

今回は③で変化しましたね。

②で拒否した場合は脇システムになりやすいです。

後手は雀刺しで端から矢倉崩しを狙いましたが、先手の右の攻撃が早くて、攻めが繋がりまくる。

ここらへんは、渡辺先生の棋風通りです。固くて切れない攻め!

プロからすると少しもたついた感じらしいですが、それでも圧勝でしたね。若手のエースをここまで粉砕するとはさすがは脂がのった名人です。

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【NHK杯観戦記】▲畠山鎮八段―△豊島将之竜王~脇システムの攻防!~

ということで最近は矢倉も完全復活し私もウキウキです!

先手の畠山八段は棒銀から端攻めを目指す将棋。対する豊島竜王は角を打ちこんでのカウンターですね。

脇システムは攻め合いになりやすいので、見ていて面白いですよね!

畠山先生が抑え込んでいく展開ですね。

攻めをつなぎまくる畠山先生に豊島先生は防戦へ。

▲3五金というカッコイイ一手が飛び出し、詰むや詰まざるやの終盤へ

ギリギリの攻防で竜王が逃げ切る展開へ・・・

豊島先生が接戦をものにして勝利へ

面白い終盤でした!!

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矢倉の基本から学びたい人向けの本です!

【NHK杯観戦記】▲羽生善治九段vs△佐々木大地五段~圧巻の羽生先生の中盤力~

NHK杯屈指の好カードになりましたね!

レジェンドvs若手新鋭

佐々木先生は、粘り強いと師匠で今日の深浦先生が言っていましたw

深浦一門を見ていると癒されますね!

今日は矢倉ですね!相掛かりか角換わりだと思っていたので嬉しいです!

矢倉の状況分析に翻弄されるDの図。

やはり、先手早繰り銀急戦になりました!相掛かりのような将棋になりやすいんですよね。

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これらの本でも書かれていますが相掛かりと矢倉って本当に垣根がなくなってきました。後手が中住まいに構えて本当に空中戦っぽくなりましたwこれもソフトの影響で早繰り銀の評価が上がったからですね。平成矢倉の総決算でもある『変わりゆく現代将棋』では、早繰り銀の評価はそこまで高くありませんでしたから!

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早繰り銀は、プロ好みの将棋になりつつありますね。早繰り銀を見せつつ厚みを作る指しまわしは、勉強になります!

矢倉なのに空中戦となりましたwここは令和矢倉のすごいところですよね。矢倉はドンドン進化しています!

羽生先生の絶妙な中盤力で、一気に形を作りました。自然な手を作り出すのがうまい。やっぱり中盤の攻めは羽生先生が絶品です。

リードを奪った後に、安定して受けきり、最後はゆっくり攻め切り羽生先生勝利!

いや~強かったです。さすがは羽生先生!!!

次の一手で覚える矢倉定跡~後手米長流急戦矢倉仕掛け番外編(Dの研究手順放出)~

▲3六歩まで

ここからは私の秘蔵の研究を放出していきます(笑)

本にはあまり書かれていない変化ですが、△8四歩型でも米長流急戦は成立します。これはこれで火力があるのでおすすめです(今までは△8五歩でした)

さあ、次の一手は?

正解はこちら

【アベマトーナメント観戦記】▲藤井聡太二冠vs△渡辺明名人~アベマで頂上決戦!!~

[決勝][T渡辺0-3T永瀬]第4局 渡辺明名人 対 藤井聡太二冠

https://abema.tv/video/episode/288-23_s57_p107

こちらで無料で見ることができますb

いや、チームバナナの圧勝劇でしたね。

5-0で所司門下を完勝し優勝です。

今回は、矢倉脇システムでしたね。

令和矢倉の王道となっているシステムです。

定跡勝負になりやすく、力戦にはなりにくい勝負です。

本局の先手棒銀戦術は脇システムの基本で、とても勉強になります。

攻める二冠vsカウンターの名人。

終盤はカウンターを決めた名人が攻める展開へ。

しかし、終盤の妙手が連発する頂上決戦でした。

受かるか分からない8筋の攻防がすごかった。

ギリギリの詰まない見切りを発動させる藤井先生のおそろしさ。

なんで短時間でこの将棋ができるのか?

圧巻の勝負でした。

脇システムを詳しく学びたいひとはこちらをどうぞ

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【名人戦観戦記】▲渡辺明二冠-△豊島将之名人~米長流急戦矢倉の激闘!!新名人誕生へ~

後手の豊島名人が米長流急戦矢倉を採用しましたね。何度も言っているように、米長流急戦矢倉は令和矢倉の最も重要な急戦矢倉なので、研究家同士の戦いだけあって大一番にこれを持ってきたのは現在の矢倉事情をしょうちょうしていますねw

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私一押しの米長流急戦矢倉についての本ですb

先手の渡辺二冠はセオリー通り攻め合いを選択しました。

2日目の午前中の攻防で、渡辺二冠が守りきって主導権を完全に握りました。

急戦矢倉の攻撃が止まってしまうと、囲いの陣形差が響きやすく豊島名人はかなり厳しい将棋となりました。

それでも、罠を仕掛けて逆転の目を探す姿勢はさすがは序列1位です。

しかし有利になってからの渡辺二冠の手厚い指しまわしはさすがでした。

渡辺明新名人がついに誕生しましたね。

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今回の名人戦は「矢倉の復活」を象徴したタイトル戦になったと思います。

事前予想では雁木シリーズかなと思っていたので嬉しい誤算でしたw

コロナのなか、大変な時期にファンを楽しませてくださった関係者の皆さん、本当にありがとうございます!渡辺名人おめでとうございます!

【王位戦観戦記】▲藤井聡太棋聖vs△木村一基王位~進化が進む土居矢倉の最前線・矢倉新時代の幕開け~

https://twitter.com/mynavi_shogi/status/1290956600933412864

いやーすごい将棋でした。


藤井棋聖は、先手矢倉の早囲いから土井矢倉に変化する珍しい将棋でしたね。本来は片矢倉にするのが定跡ですが、土井矢倉でした。

たしかに、ふたつの矢倉は角交換に強いバランス系矢倉という共通点もありますし、それで代替手段に使うのは面白い構想です。さらに、矢倉端攻め攻撃の王道である雀刺しまで組み合わせる意欲的な序盤でした。

攻める藤井棋聖・受ける木村王位という構図が出来上がりました。

主導権を握る藤井棋聖は、端攻めを見せつつ、盤の3~4筋から攻撃を開始。厚みを使った猛攻から、端を食い破る矢倉の王道を行く指しまわしです。

木村王位も逃げ筋が出てきたんですが、それでも藤井棋聖が攻めをつないでしまって勝利。凄まじい攻め将棋で、全盛期の中原先生を思いだします。

こちらのブログ記事も書きましたが、土居矢倉はさらなる進化を遂げてきていますね。

最初は、先後同型矢倉の変化として登場しましたが、今局でもそうですし、最近では今まで見ることができなかった矢倉の戦法と土居矢倉が組み合わされることが非常に多いです。

矢倉藤井システム、対急戦矢倉、相矢倉などなど。

本来なら金矢倉・片矢倉が採用されるところで、土居矢倉がオプションに追加されてきています。このタイトル戦は、矢倉新時代の幕開けを象徴するような将棋でしたね!

角交換が発生しやすいバランス型の将棋が多くなることで、偏りが激しい金矢倉は数を減らし始めて、片矢倉と親戚の土居矢倉が市民権を獲得しています。

今後の矢倉にも目が離せません!!

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【NHK杯観戦記】▲藤井聡太棋聖vs△塚田泰明九段~強すぎる棋聖~

さあ、注目すべき藤井棋聖がNHK杯に出てきました。谷川九段が解説ということで、連盟の本気具合を感じます。

塚田九段のインタビュー率直でしたね。

「1回戦突破が目標」「藤井棋聖と聞いて落ちこんだ」「藤井棋聖と指せるのは最初で最後かもしれない」

https://twitter.com/erika_hana_/status/1289580479792914433

タイトル経験もある塚田九段にここまで言わせる藤井棋聖やばすぎる。

しかし、塚田九段も「△4五歩反発」「角換わりポンポン桂」「塚田スペシャル」と序盤のスペシャリストであります。

戦型は矢倉です。

△7五歩突き急戦ですね。急戦矢倉でも結構珍しい形ですね。久しぶりに見たような気がします。

これは準急戦みたいな将棋なので、脇システムっぽい形に合流しました。

後手がまとめにくい将棋のように見えます。

谷川九段が「14歳で棋士になれるひとはなかなかいない」とおっしゃっていましたが、おっしゃっている本人が・・・そのひとりですよねww

藤井聡太先生が一気に攻めに転じました。そこに塚田先生も反撃に転じて、攻め合いに。

難解な終盤戦で、藤井棋聖の終盤力が発動。「寄せられるなら、寄せてみろ」みたいな手でしたね。見事に手厚く固い陣形が誕生し数の力で一気に寄せ切り棋聖の勝利です。

終盤が異次元の強さですね(;’∀’)

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【名人戦第四局2日目観戦記】▲渡辺明二冠vs△豊島将之名人~渡辺二冠圧巻の指しまわし~

矢倉党大注目の第四局ですが、渡辺二冠が圧巻の指しまわしで勝利し、2勝2敗のタイに持ち込みました。

初日の猛攻振りそのままに挟撃体制を作って、一気に勝負を決めてしまった印象です。脇システムという将棋はこういうものだというのが一番わかりやすく出た将棋だと思いました。

そして、将棋飯の豪華さもさすがは有名な宿でした。

おにぎり・サンドイッチ・松花堂弁当・お寿司のクオリティが高すぎるwww

脇システムは、定跡通りになりやすい将棋なので、研究好きには好まれます。火力も高いので矢倉党初心者にも結構おススメしております。

おススメの次の一手を思いだしたので貼っておきますね。

よかったら参照ください。

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