中原十六世名人・加藤一二三九段・米長永世棋聖の棋風について~スラムダンク風に例えてみる&藤井聡太先生に一番近いのは?~

中原誠名局集

新品価格
¥2,464から
(2020/7/18 10:35時点)


中原誠名局集を並べ終わりました。


前に話していた中原誠名局集をこの前、並べ終わりました。いや~最高でしたね。
中原将棋は、居飛車党の基本が詰まっています。厚みの作り方・厚みを使った寄せ・空中戦の激しい将棋などなど。

中原先生・加藤先生・米長先生の3強時代がありましたが、それぞれ棋風がはっきりしているのもおもしろいところです。

中原先生:厚みある超攻め将棋だが、軽快な攻めまで得意なポイントゲッター

加藤先生:重みある攻撃力と守備力を兼ね備えた居飛車正統派

米長先生:終盤の受けに定評がある泥沼流

居飛車党の方はこのなかで、自分がどんな風になりたいかを考えて並べれば、本格派の居飛車党に成れちゃいますよ(笑)


ちなみに、わかりやすくスラムダンクの登場人物に例えると・・・(わかりやすいか?)


中原先生=内(厚み)・外(空中戦)どちらでも得点が取れるオフェンスの鬼・流川

加藤先生=抜群の安定感で攻守どちらにも強い赤木

米長先生=抜群のディフェンス・リバウンドセンスで、どんなに劣勢になってもチャンスを作り続ける桜木花道

こんなイメージです。

そして、誰が藤井聡太先生に一番近いのか。

これはかなり悩みますが、中原誠先生と加藤一二三先生のどちらかに近いと思っています。手厚さと激しい攻め将棋は中原先生を彷彿とさせますし、序盤の手堅さ・巧みさは加藤先生を再来です。

さらに、そこに谷川九段の終盤力を追加させてしまったような、正統派居飛車モンスターですからね、藤井新棋聖は(;^ω^)

中原VS米長全局集

新品価格
¥3,080から
(2020/7/18 10:36時点)

加藤一二三名局集

新品価格
¥2,464から
(2020/7/18 10:37時点)

簡易版将棋の棋風測定診断チェック

それでは、自分が独断と偏見で作った棋風測定診断をやっていきます。
完全に独断と偏見なので、ご注意ください。あくまで、パーティー用です(笑)

問題① 直近、5局の手数について

直近5局の平均手数が、90手よりも上か下かを教えてください。

初手から分かる!将棋・序盤のセオリー (マイナビ将棋BOOKS)

新品価格
¥1,525から
(2020/6/22 22:33時点)

わかること
この診断で、あなたが序盤型か終盤型かがわかります。
平均手数が90手未満のかたは、完全に序盤型です。
研究が生きやすい横歩取りや早石田、嬉野流などの超急戦が得意ではありませんか?

逆に、90手を超える場合は、どちらかというと終盤型です。
この手数を超える場合は、じっくり囲い合ってから攻める人が多く、終盤の戦いが基本となっているはずです。

さらに、平均手数が120手を超える人は、完全に終盤型のねじりあい型です。
矢倉や位取り、穴熊のねじりあいが得意な人が多く、終盤の難解な局面を好む人がその手数を超える場合が多いです。

※ちなみに私は、平均126手だったので、終盤ねじりあい型です(笑)

②好きな戦法を選んでください

居飛車党のひと→矢倉(雁木含む)・角換わり・横歩取り・相がかり
振り飛車党の人→三間飛車・四間飛車・中飛車・角交換振り飛車全般

この中から自分の好きな戦法を一つ選んでください。

【増補改訂版】将棋・序盤完全ガイド 相居飛車編 (マイナビ将棋BOOKS)

新品価格
¥1,804から
(2020/6/22 22:35時点)


この診断では、あなたの将棋が、厚み重視派かさばき重視派か、そして、攻め将棋か受け将棋かがわかります。

居飛車党で、矢倉を選んだ人は、厚み重視で受け将棋寄りの重い攻撃を好みます。

角換わりは、切り合い好きな攻め将棋寄りの軽快な中盤を傾向が強いです。

横歩取りの場合は、さばき重視の攻め将棋です。中盤は軽快。


相がかりが好きな人は、力戦党でカテゴリしにくいんですが、どちらかというと厚み重視の重い攻め将棋の傾向が強いでしょう。

振り飛車党の方の場合は


三間飛車→さばき重視の軽快な攻め将棋

四間飛車→厚み重視の重厚な受け将棋

中飛車→厚み重視の重みのある攻め将棋

角交換振り飛車→さばき重視の重厚な攻め将棋


これでかなりの棋風が分かったと思います。

③どちらの囲いが好きですか?

居飛車党の人 矢倉or居飛車穴熊
振り飛車党の方 平美濃囲いor銀冠

この中で一つだけ選んでください

【増補改訂版】将棋・序盤完全ガイド 振り飛車編 (マイナビ将棋BOOKS)

新品価格
¥1,525から
(2020/6/22 22:37時点)

これで終盤の傾向がわかります。

居飛車党で矢倉を選んだ人は、厚みを活かした必至が好きな派閥の傾向が強いかと思います。

逆に、居飛車穴熊を選んだ方は、1手差勝負になりやすく即詰みを選択することが多いのではないでしょうか?


振り飛車党の方の場合

平美濃を選んだ方は、即詰み重視の傾向が強いと思います。

逆に、銀冠を選んだ方は、銀冠の厚みを活かして王を脱出させずに捕まえる傾向が強く、必至を好むのではないでしょうか?

以上で、棋風チェックを終わります。

最後にまとめをおいておきますので、丸を付けて自分の棋風を確認してみてください。

私の棋風は(序盤型・終盤型・ねじりあい型)の(攻め・受け)将棋です。(軽快・重厚)な中盤と(厚み・さばき)重視の展開を好みます。
終盤は(必至派・即詰み派)で、(居飛車党・振り飛車党)です。

プロ棋士の棋風研究<第4回 戸辺誠七段>

ご好評いただいている棋風研究もついに第四回ですね。

今回は、戸辺誠七段です。

はじめに

振り飛車党の若き旗手として活躍されていますね。

ゴキゲン中飛車・石田流など現代振り飛車の使い手として知られていて、相振り飛車における戸辺流・後手石田流の「4→3戦法」などを奨励会時代に開発した若き天才ですね。相振り飛車の定跡の進化は彼と菅井先生によって現在の源流が作られていると言っても過言じゃありません。

経歴

加瀬純一門下。

兄弟弟子に、佐藤和俊先生(三間飛車藤井システム・振り飛車穴熊の使い手)・遠山雄亮先生(ゴキゲン中飛車における丸山ワクチン対策の「遠山流」の開発者)がいて、みんな振り飛車定跡の整備に功績が大きいんですよね。

師匠の加瀬先生も振り飛車党なので、貴重な振り飛車一門です。

1998年の第23回小学生将棋名人戦で3位、2006年に20歳でプロデビュー。

翌年、竜王ランキング戦6組で優勝。

2009年度の期王位戦予選で、森内九段、久保棋王(当時)を破り挑戦者決定リーグに進出。決定リーグでは羽生善治名人に勝ち、羽生とのプレーオフに進出するなど大活躍し将棋大賞の新人賞を受賞。

2010年に竜王戦5組優勝。

佐藤天彦(元名人)、糸谷哲郎(元竜王)、広瀬章人(現竜王)と将来を期待されてきた逸材です。

棋書の出版も多く、わかりやすい名著「石田流を指しこなす本」などを発表するなど、アマチュアの振り飛車党にとってはとても貴重なプロ棋士の先生です。

戸辺本にほとんどはずれがないので、石田流やゴキゲン中飛車、相振り飛車本の第一候補ですね。

棋風

純粋振り飛車党。

三間飛車の石田流を得意として、中飛車と使い分けている。

直近では三間飛車4割・中飛車3割・相振り飛車3割くらいの割合で使用している。

対石田流の△1四歩戦法(先手がつきかえしたら相振り飛車にして端に傷を作り、つきかえさなかったら突き越して先手の囲いを棺桶美濃に強制させる戦法。この流行で石田流がプロ棋界から激減した)発見後も、石田流を使い続けている貴重な振り飛車党です。

するどいさばきと華麗な一手で一気に攻め切る攻める振り飛車党。

なんでも、アマチュア時代の次の一手集中勉強法で作った棋風なんだとか。

詳細はこちらのインタビューをどうぞ。

棋士の本棚フェア 第1回:戸辺誠七段 【外部リンク】

エピソード

お父さんが有名なお米農家で、テレビ番組でもたまに特集されている。

ファンや棋界へのサービス精神が旺盛で、解説・若くして弟子を取る・名著を量産するなど広報活動や布教活動にもとても熱心な棋士。野球の始球式でボールを投げるなどユニーな活動も。

今後もドンドン将棋界を盛り上げて欲しいです。

プロ棋士の棋風研究<第3回 藤井猛九段>

さて、第三回は待ちに待った藤井猛九段を取り上げますw

経歴


竜王位3期・A級など棋界のトップで戦い続けた振り飛車党の革命家。
藤井システム・藤井矢倉・角交換四間飛車など彼の影響を受けて発展した定跡も多数あり、00年代の振り飛車は彼を中心に動いてきたともいえる。当時は羽生・森内・谷川など居飛車党の重鎮たちもたびたび四間飛車を採用していたことを考えると、彼が棋界に与えた影響の大きさがうかがえますね。

棋風


ガジガジ流と言われるほど、大駒を切って相手玉を寄せる終盤も特徴的。ハイリスクハイリターンなところもあり、終盤に致命的なミスをしてしまう(俗にいう“ファンタ”)することもある。終盤力は好調・不調の波が大きいが好調時はすさまじい実力を示す。特に羽生善治をタイトルホルダーとして迎え撃った竜王戦の終盤はまさに芸術。


基本的には四間飛車一本の専門家。現状では角交換四間飛車5割・ノーマル四間飛車3割・相振り飛車2割くらいの採用頻度。棋風は序盤から積極的にリードを奪いに行くことが多い。また、捌きよりも主導権を握ることを重視している印象が強い。角交換四間飛車・藤井システムなど、横からの攻撃が主体になりやすい振り飛車党にもかかわらず、端攻めや逆棒銀など縦からの攻撃も積極的に取り入れることも多い印象を受ける。

自らの四間飛車を「うなぎやのうなぎ」と称しており、居飛車党の裏芸でたまにやる「ファミレスのうなぎ」四間飛車には負けられないと誇りを持っている。

現状では、プロ棋士はノーマル四間飛車には居飛車穴熊を採用するため、見る機会は減ったものの、全盛期は船囲い急戦に対しても無類の強さを誇っていた。

最近は、穴熊を採用することは少なく、美濃囲いを重視している。

エピソード

 修業時代は四間飛車よりも、中飛車穴熊を好んでいたというおもしろいエピソードも……
プロ入り前後して、居飛車を重点的に研究したと語っており、それが縦からの攻撃を積極的に取り入れる棋風に影響しているものだと思われる。
師匠は、穴熊党副総裁とも呼ばれた「西村九段」で、同門の三浦九段とは修業時代から一緒に将棋を指してきたけんか仲間らしい。
ファンからもさらなる飛躍が期待される大人気のプロ。

プロ棋士の棋風研究<第2回 糸谷哲郎八段>

はじめに

それでは今日は糸谷哲郎八段の棋風を研究していきたいと思います。よく、ニコニコ生放送などでも解説に登場している人気棋士ですね。


経歴


若手時代から将来を嘱望されていて、豊島、村田、稲葉とともに「関西若手四天王」、佐藤・広瀬・高崎・戸部とともに「平成のチャイルドブランド」などと異名を持っていました。元祖チャイルドブランドが「羽生世代」のことなので、どれほど期待されていたかがよくわかりますね。
村山聖・山崎・千田などを要する名門森信雄門下。
デビュー戦で橋本崇載(のちにA級)に勝ち、彼が「強すぎる。怪物だ」とつぶやいたエピソードがあります。デビュー年に新人王・連勝賞・新人賞を同時受賞するという衝撃的なデビューをしました。
また、学業成績も優秀で、プロ入りから1年後大阪大学に合格し、大学院まで進んで哲学を研究していたインテリ。
早指し戦に強く、2009・2010年にはNHK杯で二連続の準優勝。準決勝で、同じ角換わりのプロフェッショナル丸山忠久を39手で完勝しています。
2011年、銀河戦でも準優勝。
2014年、森内九段を破り、竜王位獲得(一年後に陥落)。故・村山聖九段すらなしえなかった森門下初のタイトルホルダーとなりました。
2016年、王座戦挑戦など
このように若手のトップ集団を走ってきた立派な功績を誇っています。


棋風


居飛車党で、角換わり・一手損角換わりの専門家です。
「一手損」冬の時代でも、兄弟子の山﨑八段・角換わりの専門家の丸山忠久九段ともに採用し続けてきたプロフェッショナル中のプロフェッショナル。
一手損角換わりの「相早繰り銀」・対振り飛車用の「糸谷流右玉」・「坂田流向かい飛車」の再評価など、定跡面でもかなりの功績を残しています。
インテリな経歴でありながら、将棋は腕力勝負なところがおもしろいですね。
あまり、がんじがらめに囲いを作らずに、薄い囲いで盤面全体のバランスをとって戦う棋風です。
一手差勝ちを目指す切りあいに特に強さを発揮する将棋。
角換わり:一手損角換わり:対抗形=6:3:1くらいの割合で使っている印象ですね。
基本は、得意の角換わりで、切りあい勝負を好む武士みたいな将棋です。
森信夫門下は、兄弟子の山﨑八段をはじめとして、力戦を好みますが、やっぱり糸谷八段もその気が強いですね。


エピソード


お茶目なエピソードが多いのも人気の理由。
スィーツ大好きで、新聞に連載を持っていたり、早見えすぎて普通ならやらない天才的な反則をしてしまったり……
修業時代は、ネット将棋で、渡辺明二冠から「糸谷」狩りの被害にあっていたとかなんとか。
普及にも熱心で、最前線で戦いながらイベントをバンバン主催していたりします。今の将棋ブームの基礎をつくったひとりだとも言える貴重な存在です。

プロ棋士の棋風研究<第1回 木村一基王位>

プロ棋士の棋風研究<第1回 木村一基王位>

ということで、プロ棋士の棋風研究をしていきたいと思います。今回は、木村王位の棋風研究です。

千駄ヶ谷の受け師という異名をもつ本格派居飛車党ですね。
プロ入りが、トッププロとしては遅めで、遅咲きの印象ですが、四段になったあとは、勝ちまくりいくつもの賞をとっています。

名門佐瀬勇次名名誉九段門下ということで、米長邦雄永世棋聖・丸山忠久九段・高橋道雄九段など兄弟弟子もタイトルホルダー経験者のビッグネームが名をつられています。

実績

順位戦A級・竜王戦1組にも長く在籍しており、新人王戦・朝日杯の棋戦優勝2回。

先日、棋界の頂点豊島名人を破り、悲願のタイトル獲得。
対局後の男泣きシーンは、本当に感動しました。

棋風考察

棋風は、居飛車党の受け将棋です。受け将棋というと、守備をがんじがらめに固めて、相手を受け潰すようなイメージをもつような人も多いと思いますが、木村王位はどちらかというとかわす将棋です。

直近の5局の囲いを調べましたが、変則矢倉2回・船囲い1回・右玉1回・力戦1回とかなり薄い将棋を好んでいる印象です。受けの力が強いので、薄めの囲いでも補強したり、かわしたりして、王を守っていくのが特徴的な棋風です。

対振り急戦や横歩取りといった激しい戦型の名手のイメージが私には強いです。
薄い囲いでバランスを取りながら、受け潰したりカウンターを狙っていく。

私も居飛車党のプロの中で一番好きな棋風です。
真似はなかなかできませんが(笑)

もともとは攻め将棋だったのに、修業時代の奨励会時代にもまれて、受け将棋になったというエピソードは私は結構好きですw

また、著書も隠れた名著が多いのが特徴です。

木村一基の急戦・四間飛車破り (NHK将棋シリーズ)

安定感抜群の受け将棋によって、確実に勝利していくのが木村将棋のだいご味。粘りに粘って、あの羽生善治九段を一手頓死に追いこんだほどの粘りは本当に芸術です。

ついたあだ名は「勝率」くん。
また、解説の名人とも言われているサービス精神の塊でもあります。強くておもしろくてわかりやすい。だから、アマチュアからも愛される。

何度失敗してもあきらめずに努力を続けていくメンタル。
そして、若手最強候補を倒しての40代初タイトル。
もうドラマみたいです。これだから将棋はやめられない。
押し棋士にするべき棋士No.1ということで、一番最初にしょうかいさせていただきました(笑)