個人的に思う大山将棋のすごいところ!

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ということで、最近は昭和の将棋をたくさん並べています!
一番好きなのは、やっぱり大山・中原両雄の対局集がめちゃくちゃ面白いです!
大山将棋の好きなところ・すごいところは……

序盤の構想力と受けだと思っています!!

特に、居飛車船囲い急戦関係に対しての構想がすごいですね!四間飛車の急所4巻で取り上げられている、4一金型四間飛車の原型は大山将棋ですし、その構想を60年~70年代には披露していたのは恐ろしいほどのオーパーツです(;’∀’)
あと、居飛車穴熊1号局における戦い方は、00年代の定跡と酷似しており、大山先生ー升田先生の序盤構想力の高さがでております。

序盤で安定してリードを作り、中盤は自慢の受けの力でそのリードを守り切って勝ってしまうという将棋のイメージが強いですね。
リードを広げた後は、終盤のカウンターパンチで相手をK.O.です。

これが大山将棋の黄金パターンみたいなイメージがあります。

それに対して、中原先生は、中盤力の怪物でして、厚みや攻めの形を作って、その攻めを繋ぎに繋げまくって大山先生に打ち勝ってしまうパターンが多いように感じました(;’∀’)

まさに攻めの中原! 受けの大山!!

この棋譜集は本当に勉強になるので、居飛車党・振り飛車党問わずに並べてみるといいと思います!

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落ち込んでいる時に読みたい将棋関係の名セリフ集

将棋で大ポカをして、落ち込んでいる自分のために作りました。

誰かの役にたつと幸いです。

引用元の本もとても面白い本や棋譜ばかりなので、是非とも読んでください!

たどり来て、未だ山麓

将棋史上初の全冠制覇した升田幸三実力制第四代名人の名言です。三冠(名人・王将・九段)制覇し、棋界の頂点に君臨してもたゆまぬ努力をし続ける意思表示。

ちょっとの失敗で落ちこんであきらめようとしている自分に響きます。

あと升田名人かっこいいw

錯覚いけない、よく見るよろし

こちらも升田の名言。

木村名人への挑戦権をかけた 高野山の決戦 で弟弟子の大山康晴に大頓死して挑戦権を逃したときの名言。

あの大棋士でもこういうことがあるんだから、自分の悔しさをばねにしなくちゃいけないなと思います。あの羽生先生だって1手詰の大頓死したことだってあるんだから。もっと頑張らなくちゃいけませんよね。

この後に全冠制覇するわけですし……

③ 「なあに、そのうち大人になりゃあいやでも気付くさ どんなヤツでも一線でやってる人間で恥をかいた事無いヤツなんていねぇってコトにな」

(三月のライオン3巻158頁より引用)

三月のライオンも名言が多いので、私も大好きです。

これは将棋だけじゃなくて、全ての世界で言えますからね。

私も仕事・小説などで大ポカしまくっている人間なので、こういう言葉に救われるんですよね~

④神様除去

『聖の青春』より

自分に過酷な運命を背負わせる神さまに向けての村山聖九段の名言。

運命に負けない。抗い続けてやるという病気で戦い続けた村山九段。

それに比べたら自分は恵まれているのだから頑張らなくちゃいけないと思うんですよ。

⑤ 己勝

『 大山将棋勝局集 』から

大山康晴15世名人の名言から。

己に勝つ。まずはここからですよね。

恥ずかしいと思っているのも、所詮は主観ですし……

まずは自分でドンドン落ち込んでいくスパイラルを解くところからはじめなくちゃいけませんよね。

自分に勝つことから自信は生まれるのだと勝手に思っています。

⑥助からないと思っても助かっている

『 大山、中原激闘123番 』

実はこれ、元ネタは大山名人ではないらしいです。

知り合いの社長さんから書いてもらった文字が元ネタだと本に書いてあります。

落ち込んでて、もうダメだと思っていても意外と周囲が助けてくれたり、意外と何とかなったり(笑)

実際、不安の九割以上は実現しないとか、昔本で読んだので、あんまり悲観しすぎずにがんばることって大事だと思いました(小並感)


【将棋・書評】 「大山康晴の晩節」・「不屈の棋士」・「聖の青春」

大山康晴の晩節

さて、今日は河口俊彦『大山康晴の晩節』(ちくま文庫)の感想です。またまた、趣味の将棋関係です。

 感想の前にこの本の主役、大山康晴について少し解説です。将棋界では歴代棋士の中で最強候補の最有力とまで言われている大名人です。圧倒的な「受け」で、ライバルたちの攻撃を受け潰し、無敵のような強さで勝利を積み重ねる。当時、将棋界にあった五大タイトルをすべて制覇し、それを何度も繰り返したまさに伝説の名人です。  全盛期の強さとして、この本ではライバルになる可能性のあるNo.2候補を完膚なきまでに叩き潰して、苦手意識を相手に与えることで圧倒的な立場を築いたと書かれております。なぶり殺しのような手を使ってでも、ひたすらに勝利を求める勝負師。背筋がゾッとするほど、勝利を求める姿勢です。

 さすがに加齢で圧倒的な力は陰りを見せますが、それでも将棋連盟の会長やがんの手術を繰り返しながら、トップテンクラスの棋士のみ在籍できる名人戦のA級を維持する。まさに勝負の鬼です。  がんとの闘病生活をおくりながら、迎えた一九九一年度の名人戦のA級。なんと彼は、並み居る強豪に打ち勝ち、リーグ内で同率一位となり、プレーオフに進出するという快挙を成し遂げます。この時の大山康晴の様子が凄いです。病気の影響でフラフラになりながらも、病気のことをなんとなく他人のことのように話し、顔面が真っ白でありながら、すべてを超越した「生き仏」のように見えたそうです。

 大山はこの次の年になくなるのですが、この様子に自分は一種の憧れを抱いてしまいます。才能を持ち、一時代を築きながらも、ひたすら勝利を求めた先にあるもの。それが、すべてのことを超越した仏のような姿だったというのはとても心が揺さぶられます。求道者というのこうではなくてはいけない。それほどまでに厳しいことなのでしょう。

不屈の棋士

不屈の棋士 (講談社現代新書)

 さて、今日は大川慎太郎『不屈の棋士』(講談社現代新書)の感想です。将棋のプロ棋士が「台頭してきたコンピュータについてどう考えているのか?」、「圧倒的な強さを持つコンピュータが誕生してきている今、このまま棋士はどうなってしまうのか?」という一冊です。登場するのも羽生善治、渡辺明、森内俊之、糸谷哲郎などなどそうそうたる名前が並んでおります。

 近年、ニコニコ動画の電王戦で、コンピュータに苦戦している人間側。時代の変革期に来ていると考えている人が多いと思います。

 今回のインタビューでも多くのプロたちが、コンピュータの実力を認めています。より強いコンピュータを手に入れることができたプロが、そのコンピュータを通した研究によってアドバンテージを得ることができるという情勢になりつつあるようです。もしかすると下位のプロは、仕事がなくなってしまうかもしれない。コンピュータの登場で、今までそこにあったはずのパイがいつの間にか数を減らしてしまい、壮絶な奪い合いが始まることになるかもしれないという危惧を多くのプロが持っている様子です。

 結局これは将棋の世界に限らないで、全世界的に何百年にも亘って起きている現象です。産業革命以後、機械の登場で、熟練工たちが次々に仕事を奪われていってしまった。それが、近年ドンドン大きくなってきている。

 果たして、コンピュータによって人間は追い詰められていくのか?それとも、使用者としてそれを制御できるのか?どうのような結末になるのでしょうか?。コンピュータという文明の利器によって人間世界が原始的で鮮烈な競争社会となるというのはかなり皮肉的です。

聖の青春

聖の青春 (講談社文庫)

 この本は、二十九歳で亡くなった将棋のプロ棋士、村山聖九段の一生を描いたノンフィクションです。幼少期より難病と闘いつつも、師匠や家族による献身的なサポートによって将棋界最高位リーグA級に登り詰め、これからというところで亡くなってしまった天才の一生。羽生善治や谷川浩二、佐藤康光など当時のトッププロと病気と闘いながら、しのぎを削っていたというのが凄い。

 あるアンケートについての村山の答えがとても印象的です。

 「神様が一つだけ願いをかなえてくれるとしたら何を望みますか?」
 「<神様除去>」

 難病と闘い続けることを強いた運命への呪いとそれをも超えていこうとする強い意志が感じます。棋界のトップ「名人」のタイトルを取り、引退する。そしてふと語られる淡い結婚願望。彼はいくつものことを夢に見て、それを果たせず亡くなってしまったのですが、彼の願望からも強い闘争心と、それとは別にある「普通」への憧れが読み取れます。

 「死」というものがそこにあるからこそ、「生きる」という行為が生まれてくる。そんな風に思いました。