次の一手で覚える矢倉定跡~後手矢倉中飛車基本編~

はじめに

それでは、引き続き矢倉中飛車の定跡をまとめていきます。

前回はこちら

前回の問題から飛車が2八にひきました。

ここは丁寧に処理しましょう。

解答はこちら

終盤力を鍛える実戦詰将棋~一撃必殺の基本~

今日も矢倉戦から発生した局面から出題です!

自分は先手の米長流急戦矢倉で、後手は激指です。

前回の問題はこちら↓

最近は、先手番の急戦矢倉にはまっているので、5手目▲7七銀型矢倉を増やしています。

先手番の急戦矢倉についてはこちらの記事でも語っているのでよかったらのぞいてください(笑)

実は、▲7七銀は攻撃力が高いんです。そして、▲6六歩とは違い先手でも急戦矢倉にすることができる選択肢をもっているんですね。(先手番米長流急戦矢倉等)

それでは、問題です!

※実戦詰将棋とは、普通の詰将棋のように、相手玉を詰ませる練習ですが、駒余り・余詰めOKかつ実戦的な局面から問題が出題されます。

5三銀がポイントです。

いい位置に銀をスタンバイさせることができているので詰ませましょうb

3手目がポイントです。

解答はこちら

矢倉囲いの種類について 解説

①金矢倉

最も基本となる矢倉囲い。
一番オーソドックスな矢倉。
矢倉戦でも、角換わり戦でも登場する。
縦からの攻撃に強く、粘り強く戦える囲い。

さらに銀が追加されると総矢倉と呼ばれる形。上からの攻撃に絶対的な強さを誇る。

②カニ囲い

急戦矢倉で使われる矢倉囲い。
駒落ちでも利用される。
後手や5手目▲6六歩型の矢倉で登場し、ここから金矢倉へと進化する。
縦へのある程度の守備力はあるが、矢倉と比べると心もとない。
対抗形の船囲いのような存在。矢倉にも雁木にもなれる。

③銀矢倉

二枚の銀が連なった形。
守備力は金矢倉を上回るものの、右の銀の移動に時間を取られてしまい、完成までに時間がかかる。
力戦居飛車党だった時代の大山名人が好んだ好形。

④銀立矢倉

玉頭に銀が盛り上がった矢倉。
矢倉の理想形とも呼ばれて、広さと固さと厚みを兼ね備えている。
相居飛車だけでなく、玉頭位取りでも使用される。

⑤矢倉穴熊

90年代ごろから流行した形。
流れの中で組む形であり、守備力は高い。
相矢倉の激減もあり、バランスの悪さもあり最近は数を減らしている。

⑥片矢倉

元々は、江戸時代の角換わりに使われていた囲い。
バランスが良く、相手の角の打ち込みスペースを制限できる。
天野宗歩が好んだことから、天野矢倉とも呼ばれる。
藤井猛先生に再評価され、角交換になりやすい脇システムとセットで復活した。
バランスは良いが、金矢倉と比較すると守備力が弱い。

⑦ボナンザ囲い

片矢倉の親戚。
将棋ソフトボナンザが、好んでいた形で、片矢倉と比べると横からの攻撃に強くバランスがいい。
角をすぐに捨てたがるボナンザの棋風とマッチしており、多くの強豪を盤上に沈めている。

⑧土井矢倉

バランスを追求した矢倉。
急戦矢倉に対して、流れの中で組むことができる上に、角交換が発生した場合でも比較的に強く戦える。
体感的には、金矢倉よりも片矢倉系に近い。
守備力は金矢倉に劣る。まさに、コンピュータ将棋の固さよりもバランスを体現している。

⑨雁木囲い

ノーマル

矢倉の兄貴とも呼ばれる囲い。
厳密に言えば矢倉囲いではないが、ここで取り上げる。
指しこなし方は、基本的に急戦矢倉に近く、カニ囲いよりも堅く、金矢倉よりもバランスがいい2つの中間にいる囲い。

新型雁木・ツノ銀雁木

⑩菊水矢倉

横への防御を犠牲にして、縦への攻撃に特化した形。

左桂が使いやすく火力も高いが脆さが気になる。

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次の一手で覚える矢倉定跡編集日記~先手番急戦矢倉について/急戦矢倉の使い分けについて~

はじめに

それでは、次の一手で覚える矢倉定跡の補足でもある編集日記です。

今回は、いろいろとめんどくさい急戦矢倉の使い分けについて語っていきましょう。

ここを知っているかどうかは、その急戦矢倉が成立するかどうかにダイレクトで関わってくるので、ご注意ください。

矢倉5手目問題がわからないと、理解できない記事なので、知らない方はこちらをどうぞ↓

先手番急戦矢倉について

矢倉5手目問題。

つまり、5手目に▲6六歩にするか▲7七銀にするかです。

実は、このどちらを採用するかで、後手は採用できる急戦矢倉が変わってきます。

そして、基本的に▲6六歩は、左美濃急戦以外の急戦矢倉に強いのが特徴です。

じゃあ、▲7七銀はどうしているのかと思う方もいると思います。

実は、▲7七銀は攻撃力が高いんです。

そして、▲6六歩とは違い先手でも急戦矢倉にすることができる選択肢をもっているんですね。(先手番米長流急戦矢倉等)

そこが好まれるポイント。

しかし、急戦矢倉には▲6六歩ほど強くないんです。

なので、矢倉の5手目はどっちが最善かは、時代によって変化してきています。

今は、▲7七銀が評価されるのは、先手番の急戦矢倉の採用余地があることも大きいです。

急戦矢倉の使い分け

5手目▲6六歩専用

→棒銀(強引にやれば▲7七銀にも使える)・右四間飛車(角道を閉じた相手にしか使えないから)・左美濃急戦

5手目▲7七銀専用

→矢倉中飛車

どちらもOK

→米長流急戦矢倉・△5三銀右急戦

原則はこんな場合分けがあります。

どちらでもOKの急戦をおぼえるのが一番楽なんですが、この2つの急戦定跡は結構難しいのがネックです。

なので、

・(棒銀or右四間飛車)&矢倉中飛車

の2つの定跡をまずおぼえれば矢倉の後手は持つことができるようになります。

まずは、それを目標にしてみてください。

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矢倉の本は絶版になりやすいので、ご注意ください!

次の一手で覚える矢倉定跡編集日記~級位者の方は相矢倉よりも急戦矢倉で攻め潰すべき?~

はじめに

それでは、次の一手で覚える矢倉定跡を書いている裏話を徒然に語る編集日記②です。

矢倉中飛車は、変化が多くて本編があまり進まないことをお詫びしつつ、今回は級位者の方向けの矢倉定跡を語ります。

矢倉入門者は、相矢倉よりも急戦矢倉のほうが勝ちやすいのではないか説

意外と私はこの説を押しています。

相矢倉の難点は、定跡の複雑さとバランスを取ることの難しさです。

▲4六銀3七桂や▲森下システム、▲加藤流は、結構攻めを繋げるのに難しいイメージで、すぐに悪くなることはないんですが、ねじり合いの感覚を身につけるまでは負けやすいイメージがあります。

なら、こちらから先攻して、無理気味でも攻め切ってしまった方がいいのではないかとも思うんですよね。

ただ、急戦矢倉でも定跡の難易度は、結構幅があるので、本当に矢倉初心者の方は、わかりやすい急戦矢倉を徹底的にマスターした方が上達が早くなると思います。

独断と偏見で急戦矢倉の難易度をカテゴリ分けすると……

(わかりやすい)

・棒銀

・右四間飛車

(普通)

・矢倉中飛車

・左美濃急戦

(難しい)

・米長流急戦矢倉

・△5三銀右急戦

こんなイメージです。

本当に矢倉が苦手な人は、まずは棒銀と右四間飛車で矢倉を崩す感覚をつかんだ方がいいのではないかと思います。

この二つは狙いは単純でも、プロでも愛好者がいるくらい有力な戦法ですからね。

(棒銀)

・谷川先生

・90年代の羽生世代

(右四間飛車)

・加藤一二三先生

・中川先生

こんな感じで軽く名前を上げただけでも、ビッグネームが多いんです(笑)

今後、↑の次の一手も少しずつ裏定跡を拡張していく予定なので、それも活用していただけると嬉しいです。

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終盤力を鍛える実戦詰将棋~厚みを活かした詰み手筋~

はじめに

今日はお休みだったので、たくさん激指さんと練習対局できました(笑)

今日の総決算として、最後に厚みを活かした詰手筋を紹介したいと思います。

最近は、5手目▲7七銀から、先手番で米長流急戦矢倉を採用するのにはまっているので、その終盤です。

前回の問題はこちら↓

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さて、上から矢倉を押しつぶしたときに出やすい手筋の問題です。

激指が、この歩の対処をミスしたことから生まれた手筋です。

△同金としないで、△4四金ならまだ勝負が続いていました。

※実戦詰将棋とは、普通の詰将棋のように、相手玉を詰ませる練習ですが、駒余り・余詰めOKかつ実戦的な局面から問題が出題されます。

この同金で頓死

解答はこちら

終盤力を鍛える実戦詰将棋~基本の詰手筋!~

はじめに

それでは、実戦詰将棋です!

前回の問題はこちら↓

今回は、自分が先手番で、米長流急戦矢倉を採用しました。

下手は練習相手の激指二段です。

上からの厚みのある攻撃と横からの攻撃を組み合わせたら、教科書的な詰み手筋が発生しました。

迷いなく討ち取ってください。

※実戦詰将棋とは、普通の詰将棋のように、相手玉を詰ませる練習ですが、駒余り・余詰めOKかつ実戦的な局面から問題が出題されます。

金を斜めに誘い込んで、一気に討ち取ります。

もう教科書的な詰み手筋ですね。

ひと目で一気に詰ませましょう。

分からない人は、解答を見てしっかり筋を叩きこんでください。

解答はこちら

次の一手で覚える矢倉定跡編集日記~矢倉が組めれば初段!?・難しい急戦矢倉定跡~

はじめに

それでは、今日は『次の一手で覚える矢倉定跡』編集の裏話を紹介していきます。

どうして急戦矢倉からはじめたのか?

これは、急戦矢倉への対策無くして、矢倉は作れないからです。

矢倉に組めれば、初段という格言がありますが、それはどういうことかというと、矢倉に組む前に急戦に襲われることが多いからです。

主な急戦矢倉への対応策をおぼえて、すべてに対処して矢倉を組めなくては、居飛車で初段にはなれないという先人たちの思いですね。

そして、急戦矢倉定跡は、1手1手に意味があるので、それをおぼえるだけで手筋の力が身につくという優れものです。

矢倉の基本は、急戦矢倉にある。

私はそう思います。

難しい急戦矢倉定跡

急戦矢倉において、最も中心となるのは、矢倉中飛車と米長流急戦矢倉だと思います。

アマに人気なのは、棒銀・右四間飛車・早繰り銀・矢倉中飛車・左美濃急戦だと思いますが、これらが人気なのは狙い筋が分かりやすいからです。

逆に、米長流急戦矢倉や5三銀右急戦は、波状攻撃が基本でやや分かりにくい。

なので、矢倉中飛車・米長流急戦矢倉・5三銀右急戦は、他の定跡よりも詳細な説明をしなくていけなくなるので、分割量が多くなると思います。

ご了承ください。

あえて、5手目▲6六歩を選んだ理由

プロの主流である▲7七銀をあえて紹介しなかったのには理由があります。

それは対急戦において、1手の重みが重くなりすぎるからです。

▲6六歩は、対急戦に対して、じっくり受け止めて勝つことが多くなります。

それに対して、▲7七銀は、お互いに攻め合いになりやすく、1手1手の重みが非常に濃くなります。

矢倉入門者が、7七銀側の定跡を覚えるのは非常に重荷になりやすいと思うので、あえて5手目▲6六歩を選んでいます。

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次の一手で覚える矢倉定跡~後手矢倉中飛車超基本編~

はじめに

それでは、矢倉中飛車の定跡を紹介していきます。

前回の問題はこちら

基本図まで

▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀▲5六歩 △5四歩 ▲4八銀 △4二銀 ▲5八金右 △3二金▲7八金 △4一玉 ▲6九玉 △7四歩 ▲7七銀 △6四歩▲6七金右

矢倉中飛車は、先手が▲7七銀に動いたことがトリガーとなります。

5手目▲6六歩型は、これを避けるためにゆっくり上がることになりますが、現在主流の5手目▲7七銀型には積極的に採用できるので、おぼえると幅が広がります。

それでは、問題です。

基本図から、後手は中飛車を目指すための一手を考えてみてください。

解答はこちら

矢倉の基本知識~相矢倉にはどんな種類があるのか?~

1はじめに

今回は矢倉の種類わけです。

矢倉にもいろんな形があるので、簡単に種類を説明していこうと思います。

急戦矢倉とじっくり矢倉に分けて、簡単に解説していきます!

急戦矢倉はこちら↓

矢倉の戦型はたくさんあるので、今回は主な内容を中心にしています。

今回はじっくりの相矢倉定跡ですb

2相矢倉とは?

先手も後手も矢倉に組む相居飛車の持久戦のことです。

今は、後手の急戦矢倉や雁木が全盛期なので、減少中ですが、かつては将棋の純文学とも呼ばれて王道戦術でした。

先手の銀が3七の地点にいるので、▲3七銀戦法と呼ばれて、1970~2010年代まで主流戦法の王道にいた怪物です。

3相矢倉

①▲4六銀3七桂戦法

灘流矢倉を源流とする戦法。羽生世代を中心に、91手組とも呼ばれるガチガチの定跡研究がおこなわれた形。

理想形が完成すると先手に非常に攻撃力があり、後手は苦戦する。

理想形に組ませない後手の対策が生まれて、主流戦法の地位から陥落。

②加藤流

矢倉が完成した後に、1筋の歩を突く。

名前の通り、加藤一二三先生が定跡化に貢献している。

80年代前後に全盛期を迎え、タイトル戦でも数多くの採用実績がある。

端攻めに移行して、雀刺しになるなど、ねじり合いになりやすい矢倉の王道。

最も基本となる矢倉の形。

③脇システム

角が向かい合う矢倉。

角交換が発生すると手が狭まり研究勝負になりやすく、三浦先生など研究家に好まれる。

相矢倉では、これと藤井流早囲いが現在の主流。

攻め方は、ここから先手が棒銀にすることがわかりやすい。

脇先生が開発した。

➃森下システム

▲3七銀を保留して、矢倉を作る。

後手の出方を見て、戦型を決める矢倉。

雀刺しが天敵で、森下システムvs雀刺しが、この戦型の永遠のテーマ。

森下先生が作り出して、深浦先生が改良するなど花村門下に縁がある戦法。

90年代前後が全盛期。

⑤早囲い

このように王が銀と角の間を移動して矢倉を作る。

通常の矢倉よりも早く完成するため、早囲いと呼ばれる。

米長流急戦矢倉が天敵だったが、藤井猛先生の研究で克服。

片矢倉に脇システムと組み合わせる矢倉藤井システムが、相矢倉においては主流の形の一つ。

⑥土居矢倉

古くて新しい形。

急戦矢倉対策に流れの中で、組むことができることが再評価され、矢倉の王道へ。

固くはないが、バランスが良く、最近は対急戦以外でも、相土居矢倉まで飛び出すほど評価が高い。