『加藤一二三名局集』徹底研究

はじめに

12月からずっと加藤一二三名局集をゆっくり並べていまして、先日ついに全局並べ終わったので、其方を使って加藤一二三先生の研究をしていきます!

この名局集の感想をたまにtwitterにつぶやいていたら、先生ご本人にいいねをもらったりして、応援してもらいました(^^)/

この場を借りてもう一度お礼を!

加藤先生本当にありがとうございます!

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ちなみに、今は大山vs中原全局集を並べていて感想をこちらに投稿しています。

収録されている戦法について

加藤先生と言えば矢倉と棒銀を中心とした対振り急戦ですよね。

多くのひとは、棒銀をイメージすると思いますが、私は矢倉加藤流からの雀刺しが一番しっくりくるんです。

そうつぶやいたら、加藤先生からもいいねをもらっちゃいました(笑)

さて、採用された戦法は

相居飛車:対振り飛車=7:3くらいです。

相居飛車の内訳は

やっぱり矢倉(急戦含む)がダントツで70%

次に多いのは、相がかり(ひねり飛車含む)で12%

残りの18%を各種相居飛車の戦法で分け合っています。

対抗形は

急戦が60%、位取り20%、棒銀20%です。

棒銀と急戦を分離させてしまったので、あれですが、合わせれば80%

対振りはほとんど急戦ですw

加藤先生の棋風について

加藤先生と言えば、矢倉です。

1筋の歩を早めに突く通称”加藤流”を武器に強豪たちと戦いました。

加藤流の形を作った後どうするかですが、基本となるのは雀刺しです。

歩・香車・飛車が槍みたいに構えるあの形です。ひふみん先生は、あの矢倉で名人を奪取しているので、やっぱり代名詞ですよね。その他にも、急戦矢倉も得意としていて、右四間飛車・矢倉中飛車の採用率も高いです。

また、この棋譜集には、対右玉・対筋違い角・雁木の対局も若干のっているのが面白いところですね。加藤先生は、厚みを守りに活用することもうまくて、広さをうまく使っているのがとても勉強になります。

加藤先生は、基本的に攻守のバランスがいい棋風だと思います。攻め将棋とは言われますが、中原先生の全盛期はもっと苛烈な攻め将棋ですし、相対的に比較するとバランス型の棋風。

厚みを作り出すのがうまく、それを活かして完勝することが多いですね。

なので、勝った対局は本当に気持ちがイイほど完勝しています。これが加藤先生の将棋の相居飛車の特徴。

対して対抗形は、急戦で攻めまくります。ただ、急戦の場合は、どこかで受けなくてはいけなくるときが生まれるので、攻守の切り替えもうまいです。教科書のようにお手本になる切り替え方。

まさに王道を行く棋風です。

以上、加藤先生の棋風分析でした。

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大山vs中原全局集研究(前編)

はじめに

現在、高速棋譜並べをためして、大山康晴vs中原誠の全局集を並べています!

約50局ほど並べました。

1967年から1972年までですね。

ここが二人の天王山ということで、世代交代をかけた大一番が多いです。

ということで、約三割ならべたところの感想を書きます!

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戦型について

ほぼすべて対抗型。

大山先生は中飛車と四間飛車が多くて、三間飛車は少なめ。

対して中原先生は、位取りが多くてその次に棒銀。

これは四間飛車の歴史でも書いたことがあります!

あと、大山先生は後に封印する振り飛車穴熊を積極的に採用しています。

振り飛車戦型:四間飛車35% 中飛車35% 三間飛車 20% その他 10%

居飛車戦型:位取り40% 棒銀20% 力戦形の急戦20% その他20%

こんな感じの採用率です。やっぱり、位取りが多いですね。

対して、振り飛車は中飛車が意外と多いですね。四間飛車とほぼ同率。居飛車穴熊が存在しない世界でのノーマル中飛車の優秀性が如実に出ています。

二人の棋風について

大山先生はもちろん受け将棋。たいして、中原先生は厚みをいかした攻撃で攻めをつなげまくる超攻め将棋です。

歴代最強クラスの受けをもつ大山先生にたいして、すさまじく攻めを繋いでいかます。

いまではほとんどない位取りの戦型の良さが際立っています。

厚みがあると、攻撃の繋ぎやすさが段違いなので、それを活かすのが本当にうまい。

たぶん、この時代の中原先生は歴代最強クラスの攻め将棋です。

私は、自然流を、自然に攻めをつなぐ流派だと思っていますw

攻め将棋の人は、中原先生の棋譜を並べるとすごさが際立つはずですよ。

史上最強クラスの受け将棋の大山先生が、中原先生の攻めに相当苦戦しているのが、その証拠。

いや~、密度が濃い5年間の棋譜でした。

次は、100局まで並べたら感想記事を書きます。

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【アベマトーナメント観戦記】豊島将之竜王名人vs三浦弘行九段~それぞれの執念~

注意書き

将棋連盟の将棋連盟ライブ中継アプリ等(https://www.shogi.or.jp/lp/mr201704/ )を使って観戦を楽しんでいる方向けの将棋観戦記です。

ただし、将棋連盟から「棋譜利用に関するお願い」(https://www.shogi.or.jp/news/2019/09/post_1824.html )という通達も出ているのでこれを遵守して、観戦記を書いていこうと思います。

・棋譜と図面を使用しない

・読者の方が上記のアプリを使用して棋譜並べをする参考になるように、序盤の構想のどこがおもしろいのかや、終盤の注目ポイントを簡潔に述べる

・あくまで、 将棋連盟ライブ中継アプリ等 のバックナンバーで参考になる対局紹介というレベルで抑える。

今回の対局の基本情報

棋戦名:第3回AbemaTVトーナメントプレーオフ

対局者:豊島将之竜王名人vs三浦弘行九段

日付:2020.4.25

観戦記

ということで、今回はabemaTVのプレーオフの観戦記です。
豊島竜王・名人vs三浦九段。お互いのチームリーダー同士の激突です。

前回の観戦記はこちら

豊島名人はこのフィッシャールールに苦戦しているイメージですね。
あまり勝ちきれていない感じです。

序盤をノータイムで指すあのスタイルは終盤に時間を残すための作戦なんでしょうね。
好きな棋士なのでがんばってほしいんですが。

対して、三浦先生は腕力ある局地戦が好きです。
どちらも好きな棋士同士の大一番で、肩入れしたいのに生き残るのは片方だけ。

先手の豊島名人が新型雁木・後手の三浦先生が左美濃に構えました。
これはこの前のブログでも書きましたが、雁木の有力な対策ですね。

先手雁木の場合は、相雁木に誘導されると手詰まりになりやすいのがネックなんですが、
攻撃力があって主導権を握れるので、採用したんでしょうね。

前回の記事でも、右四間飛車にするのが左美濃側の雁木対策と言いましたが、今回も同じ形へ。
先後は逆ですが、やっぱりこの形はプロでも有力視されているのですね。

後手の十時飛車の手筋は、積極的に狙っていきたい定跡。
ただ、この定跡は右四間飛車側の反動が出やすいので、非常にカウンターが怖いです。

そこを豊島竜王が見逃すわけもなく一転攻勢へ。
三浦先生もこうなると予測していたはずなので、研究家同士のぶつかり合いとなりました。

豊島先生の猛攻で、三浦先生の美濃囲いは崩壊。とてつもなく難解な寄せあいに突入します。
一時、受けなしに見えたのですが、そこはさすがの三浦先生。用意の手で逃げまくる。

しのげるかどうかの瀬戸際で、みごとに逃げ切り豊島先生を圧倒しました。
すさまじい執念を感じる終盤戦です。

今回の見どころ

・プロの雁木対策
・右四間飛車の反動を活かした切り込み方
・執念の終盤戦

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【NHK杯観戦記】松尾歩八段vs出口若武四段~矢倉から相がかり、そして雁木へ~

注意書き

将棋連盟の将棋連盟ライブ中継アプリ等(https://www.shogi.or.jp/lp/mr201704/ )を使って観戦を楽しんでいる方向けの将棋観戦記です。

ただし、将棋連盟から「棋譜利用に関するお願い」(https://www.shogi.or.jp/news/2019/09/post_1824.html )という通達も出ているのでこれを遵守して、観戦記を書いていこうと思います。

・棋譜と図面を使用しない

・読者の方が上記のアプリを使用して棋譜並べをする参考になるように、序盤の構想のどこがおもしろいのかや、終盤の注目ポイントを簡潔に述べる

・あくまで、 将棋連盟ライブ中継アプリ等 のバックナンバーで参考になる対局紹介というレベルで抑える。

今回の対局の基本情報

棋戦名:第70回NHK杯将棋トーナメント

対局者:松尾歩八段vs出口若武四段

日付:2020.4.26

観戦記

安定して勝つ松尾先生と初出場で緊張している出口先生の対局です。

松尾先生は、ちょい悪っぽいイメージです。ダンディ。

戦型は、矢倉ですね。5手目▲7七歩ver。

基本的に、5手目▲7七歩は急戦矢倉をとがめにくいので、高確率で対急戦となります。

・矢倉中飛車

・米長流急戦矢倉

・一直線棒銀

・早繰り銀

ここら辺が流行している対策ですね。

米長流急戦の場合は、そこから持久戦に移行することがあって、その中で土居矢倉なども出てくる感じです。

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昔は、急戦矢倉=後手だったんですが、最近は先手でも急戦矢倉にして、先攻することが多くなってきています。後手に一方的に主導権を握られるのが嫌なんですよね。

今回も、先手が急戦を狙う感じです。

流れの中で、矢倉と相がかりの真ん中のような陣形へ。

先手は、棒銀(UFO銀)

後手は、早繰り銀。

こうなってくるとUFO銀から腰掛け銀に直すパターン・4筋から形を作っていくパターン・棒銀で攻めるパターン、いろいろあって後手は対策を絞りにくいです。

相がかりの持久戦パターンと合流しました。

こうなってくると腰掛け銀が有力ですね。早繰り銀をけん制できるので。

後手も早繰り銀を放棄して、ノーマル雁木のような形へ。

矢倉→相がかり→雁木と戦型がゴロゴロ変わります。

相居飛車においては角道を止めないことが重要。攻めが単調になりやすいですからね。稲葉先生の大事な解説です。

最近、相居飛車の各種戦法の領域が曖昧かしてますね。すごい新時代だ。

右四間飛車にした段階で、私は先手有利だと思います。

後手は、なかなか攻めに動けない上に、角が閉じこもっているのがあんまり好きではありません。陣形が手厚いので、そこをうまく使っていくのがポイントか。

しかし、抑え込まれたように見えていた後手が、大爆発。

すさまじく挽回していきます。先手は薄い陣形なので、下手すれば流れ弾に当たる危険性もある勝負手もでました。

しかし、先手は冷静にずるずると優勢を広げていきます。この冷静な指しまわしは、さすが松尾先生ですね。

まさに完勝ですね。最後は有名な寄り筋なので、是非とも確認してみてください。

今回の見どころ

・自由自在の序盤戦術

・駒組をめぐる攻防

・松尾先生のジワジワリードを広げる技術

前回のNHK杯の感想はこちら

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【定跡研究】雁木vs左美濃~プロ棋戦で流行している雁木(&ハチワンシステム)対策~

はじめに

今回は、最近プロ棋戦で流行している雁木対策の左美濃について考えていきたいと思います。

実は、この対策、自分のハチワンシステムにダダ刺さりなんですよね(笑)

なので、あまり書きたくないんですが、ここは対策を考えるうえでもちょっと紹介していきます。

解説

とりあえず、今回は後手雁木です。

まずは「どうして、プロの先手で雁木は少ないのか?」から説明すると、相雁木になると先手番が手詰まりになりやすいからです。

先手の打開策が意外となく、後手が十分にできる。

最悪手詰まりになって、千日手になったら有利な先手の放棄になるので、先手番の雁木は少ないんです。

先手番の雁木対策が、後手雁木というすさまじい状況になっていますw

詳しくはこちらの本の170~177頁をご参照ください。

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雁木の魅力は

・攻撃力が高い

・広くてそこそこ固い

・駒組段階で居飛車か振り飛車かわからない

この3点が挙げられます。

しかし、左美濃の場合は、舟囲いから作れるので、ハチワンシステム対策として使いやすいです。

相手がノーマル振り飛車なら、舟囲いから各種戦法。雁木だったら、左美濃に組めばいいので、固い囲いを目指せます。

初手から

▲2六歩△3四歩▲7六歩△4四歩▲4八銀△4二銀

基本図

これで、後手はノーマル振り飛車・矢倉・右玉・雁木の可能性を残しています。

この選択肢の多さがハチワンシステムの魅力です。

図①できる限り6八の地点で王を待機させる

▲6八玉△5四歩▲5八金右△4三銀▲2五歩△3三角▲9六歩△3二金▲7八銀

ここまで来ると、ノーマル中飛車か雁木に絞られました。

駒組のコツはできる限り6八の地点で王を待機させること。7九玉型左美濃なら、振り飛車にもある程度戦えますし、銀冠穴熊という選択肢も生まれてきます。

図②相手が雁木だとわかったら、左美濃右四間飛車

相手が雁木だとわかったら左美濃右四間飛車の形に組みます。

△5二金▲7九玉△6二銀▲4六歩△8四歩▲4七銀△7四歩▲5六銀△4一玉▲3六歩△7三桂▲3七桂△8五歩▲4八飛

これで守備力と攻撃力の理想形を作ることができました。

仕掛けの手順はオーソドックスに▲4五歩です。

ここからは1局の将棋ですね。

先手が主導権を握って、後手が受けまくる展開です。

最後に初手からの棋譜をもう一度書いて終わります。

▲2六歩△3四歩▲7六歩△4四歩▲4八銀△4二銀▲6八玉△5四歩
▲5八金右△4三銀▲2五歩△3三角▲9六歩△3二金▲7八銀△5二金
▲7九玉△6二銀▲4六歩△8四歩▲4七銀△7四歩▲5六銀△4一玉▲3六歩
△7三桂▲3七桂△8五歩▲4八飛△5三銀▲4五歩△同 歩▲同 桂
△8八角成▲同 玉△2二角▲7七角△4四銀右

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将棋におけるランチェスター戦略に基づいた上達法

はじめに

ということで、今日は将棋上達法です。
たまには、意識が高い感じ(笑)でランチェスター戦略に則った将棋上達法の考察です。

そもそもランチェスター戦略とは?

経営学の理論で、かいつまんで話すと弱者の生き残り方です。

中小企業がすさまじい人材力や営業力、財力がある大手企業との全面対決を避けて、自分の最も得意な狭い分野で局地戦を挑むべきだという考え方です。

自分のように将棋を始めるのが遅かった人などがとるべき戦略だと思います。

ランチェスター戦略に基づく将棋勉強法

対象者:将棋を始めるのが遅かった人orなかなか上達できずに苦しんでいる人

やりかた:ひとつの分野に特化する

得意戦法を一つに絞る。マイナーならマイナーなほどいい。自分しか知らない戦法のようなものが望ましい。

どうして、マイナーがいいのか。それは、有段者も知らない手順に迷い込ませて、勝つw
これが至高です(笑)

自分が去年のGW中に3切れで昇段するために、羽生式袖飛車にしぼって研究し、アマ強豪たちをジャイアントキリングできたのはこの戦略に則っています(笑)

あの時は、アマ五段の人にも羽生式袖飛車の嵌め手手順で勝率が異常に高かったのでw

なので、マイナー戦法ならなおのこといいです。
弱者であることを逆に強みにしましょう笑

奇襲戦法研究所に棋譜データがあるので、どんどん使ってください。

ランチェスター戦略にもとづくプロ将棋の分析

この戦略を最もうまく利用したと思うのが、藤井猛先生と丸山先生だと思います。

ふたりは年齢的に羽生世代と同世代ですが、ふたりとも奨励会への入会は遅かったです。

羽生世代の代表格「羽生先生・佐藤先生・森内先生」は、言ってみればオールラウンダーで居飛車も振り飛車も指せます。さらに修行時代から将来を嘱望されてきたトップエリート。まさに、大手企業ですね。

藤井先生が、奨励会に入会した年に、羽生先生はプロでした。

しかし、ふたりとも序列トップの名人や竜王のタイトル経験もあるトッププロです。

彼らはどのように逆転したのか。

それが特定分野への集中です。

ふたりは得意戦法(藤井先生=四間飛車、丸山先生=角換わりと横歩取り8五飛車戦法)に特化することでそのハンデを乗り越えてビックタイトルを獲得しています。

丸山先生は、その後、角換わりと一手損角換わりに特化していきますが、ふたりともスペシャリストとしての地位を固めて、特定の戦法に特化したことで、最強世代と互角に戦う方法を身につけたと考えていいと思います。

まとめ

ということで時間がない中で将棋上達のためのランチェスター戦略まとめです

・特定分野(マイナーならマイナーなほどいい)に集中して特化し、第一人者的な地位に立つ

わかりやすく簡単なまとめでした(笑)

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オリジナル戦法考察 「先手番ハチワンシステム改」

ということで、今日は将棋の考察記事です。

今回は 柴田ヨサクル先生 のマンガ『ハチワンダイバー』で開発された「ハチワンシステム」の考察記事です。少し自分の方でその戦法を魔改造したので、オリジナル戦法化しておりますw

前回紹介したハチワンシステムの魔改造版「ハチワン=Dシステム」は後手番限定で、覚えなくてはいけない戦法も多かったのが難点でした。

「ハチワン=Dシステム」は後手番専用で

vs矢倉→振り飛車or雁木

vs舟囲い→雁木

vs振り飛車→糸谷流右玉

を考えておりました。

しかし、今回のハチワンシステムは、雁木と相振り飛車だけに絞り、さらに先手番でも使えるようにアレンジしましたw縦の将棋が大好きな人向けです。

基本図まではわずか3手です。

基本図まで

▲7六歩 △3四歩 ▲6六歩

ちなみに、後手8四歩でも、▲6六歩ですw

わずか、三手で基本図のできあがり。

簡単でしょ?

vs居飛車編

基本図から △8四歩 ▲6八銀 △8五歩▲7七角 △6二銀 ▲6七銀 △5四歩 ▲5六歩

この流れはほぼ確定ですね。

相手にノーマル中飛車だと錯覚させて、舟囲いに組ませる心理戦です。

ここから雁木に変化します。

舟囲いからだと、左美濃か矢倉にしか変化できないので、雁木からの積極策を後手にぶつけることができます。主導権を握りやすく、一気に攻め潰す流れです。

△4二玉▲7八金 △3二玉 ▲4八銀 △5二金右 ▲5七銀 △7四歩▲6九玉 △4二銀 ▲3六歩 △3一角 ▲2六歩 △3三銀▲5八金

先手は、もう攻撃に移せるが、後手はまだ準備中。

vs振り飛車

△3二飛 ▲6八銀 △3五歩▲6七銀 △6二玉 ▲7七角 △7二銀 ▲8八飛

ここからは普通の相振り飛車ですね。

▲6六歩を決めているので、向かい飛車がベストかなと。

早めに角道を止めてしまうと、振り飛車側に主導権を握られてしまうので、なら攻め合いになりやすい相振り飛車をチョイスしました。

これでふたつの戦法だけおぼえれば、将棋ができる状況です。

さらに、雁木と相振り飛車なので、最低限囲って攻め合いになります。

主導権を握れる&まあまあ固いので、縦からの攻めが得意な人向けの総合戦法になっています。

今後は、雁木と相振り飛車の特集を増やそうかな(笑)

最後におススメ本二冊を紹介して終わります。

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実は、この本は雁木党にとっては、聖典で、再版される前は定価の5倍近くで取引されていましたw。今でも、ノーマル雁木を指したい人の第一候補です。

相振り飛車を指しこなす本 1 最強将棋21 / 藤井猛 【全集・双書】

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こちらは安心安全の藤井クオリティ。相振り向かい飛車をマスターしたい人は必携です。

【NHK杯将棋観戦記】米長邦雄十段 対 羽生善治四段~歴史的な初手合い・新旧矢倉&終盤の名手の激突~

注意書き

将棋連盟の将棋連盟ライブ中継アプリ等(https://www.shogi.or.jp/lp/mr201704/ )を使って観戦を楽しんでいる方向けの将棋観戦記です。

ただし、将棋連盟から「棋譜利用に関するお願い」(https://www.shogi.or.jp/news/2019/09/post_1824.html )という通達も出ているのでこれを遵守して、観戦記を書いていこうと思います。

・棋譜と図面を使用しない

・読者の方が上記のアプリを使用して棋譜並べをする参考になるように、序盤の構想のどこがおもしろいのかや、終盤の注目ポイントを簡潔に述べる

・あくまで、 将棋連盟ライブ中継アプリ等 のバックナンバーで参考になる対局紹介というレベルで抑える。

今回の対局の基本情報

棋戦名:第36回NHK杯将棋トーナメント

対局者:米長邦雄十段 対 羽生善治四段

日付:1986・11・30

観戦記

前回と同じように過去のNHK杯のアーカイブス観戦記です。

https://abema.tv/video/episode/457-1_s36_p34

今回は、米長邦雄永世棋聖と羽生善治九段の初手合いですね。

先手が羽生先生・後手が米長先生です。竜王戦がまだ十段戦だった頃のお話。羽生先生もまだ四段ですw

矢倉の名手同士の激突です。

羽生先生は、旧式矢倉(ということで、現在は復活して矢倉の最新形になっていますが(;’∀’))

矢倉の最新事情はこちらをご確認ください。

今回の解説は、羽生先生の師匠である二上九段。

お互いに厚みを作り合うゆったりとした展開へ。

おふたりとも桂馬の早飛びから、厚みを作り出すのがうまいですね。

後手がやや強引に攻めに出て、先手がうまくいなしていく展開。

6~7筋の攻防を羽生先生が制して、完全に主導権を握りました。

お互いに厚みを目指す展開は、どちらかが圧勝で、もう片方が完敗になりやすくく、羽生先生が厚みを活かして一気に攻めかかります。

この厚みを活かした展開、さすがだな。

しかし、劣勢とはいえ、さすがは泥沼流。勝負手を連発していきます。

一つ間違えれば、即首が飛ぶ終盤戦。

お互いに終盤に強みを持つふたりですから、この攻防は痺れます。

粘る米長先生を、間違わずに寄せきる羽生先生。おもしろいです。

やっぱり昭和の矢倉はこういう魅力がありますね。

今回の見どころ

・厚みの構築をめぐる攻防

・厚みを活かした攻撃のつなぎ方

・終盤の勝負手をめぐる駆け引き

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【NHK杯将棋観戦記】大山康晴十五世名人 対 羽生善治五段~歴代最強クラスのふたりによる玉頭戦の攻防!?~

注意書き

将棋連盟の将棋連盟ライブ中継アプリ等(https://www.shogi.or.jp/lp/mr201704/ )を使って観戦を楽しんでいる方向けの将棋観戦記です。

ただし、将棋連盟から「棋譜利用に関するお願い」(https://www.shogi.or.jp/news/2019/09/post_1824.html )という通達も出ているのでこれを遵守して、観戦記を書いていこうと思います。

・棋譜と図面を使用しない

・読者の方が上記のアプリを使用して棋譜並べをする参考になるように、序盤の構想のどこがおもしろいのかや、終盤の注目ポイントを簡潔に述べる

・あくまで、 将棋連盟ライブ中継アプリ等 のバックナンバーで参考になる対局紹介というレベルで抑える。

今回の対局の基本情報

棋戦名:第38回NHK杯将棋トーナメント

対局者:大山康晴十五世名人 対 羽生善治五段

日付:1988・12・18

観戦記

こちらはアベマさんで、無料公開されているNHK杯のアーカイブ放送を見ながら書いた観戦記です。

[羽生善治九段偉業達成記念!]第38回 NHK杯将棋トーナメント 3回戦・第3局 大山康晴十五世名人 対 羽生善治五段(1988/12/18放送)

https://abema.tv/video/episode/457-1_s38_p37

先手は、羽生先生。此の前年に新人王を獲得したばかりの、まだ五段時代。五冠じゃなくて五段ですからねw

それに対して、大山先生は言わずもながな大名人。

この時は、将棋連盟会長も務めています。

後手の大山先生は、ノーマル中飛車の英ちゃん流中飛車を採用。

5筋突きを後回しにする中飛車ですね。そうすることで、他の筋に飛車を振った時に傷になりにくいんですよね。

穴熊以外にはかなり有効な作戦です。

対して、羽生先生は、ノーマル中飛車に舟囲い急戦です。

急戦に対して最強の守備力を持つ中飛車に、急戦。

さらに、途中で解説の森先生から、急戦vs中飛車の解説があります。

これは今となっては貴重な説明なので、居飛車党はぜひ見てください。

羽生先生は、工夫した棒銀で対抗です。

それに対して、木村美濃風に構えて、袖飛車への変化を目指す大山先生(俗に言う、大山流雲隠れ飛車です。振り飛車黎明期から大山名人が得意としている形)

羽生先生は、袖飛車に対して、ボナンザ囲いのように備えて上部を厚くしました。

以外にも、受け将棋の大山先生が積極的に動いている印象ですね。羽生先生が守勢に回っています。

羽生先生は玉頭をドンドン厚くしていきます。

こうされると、棒銀の銀が取り残されていますが、厚みを作った羽生先生が勝ちやすい印象ですね。

そして、歴代最強のふたりによる玉頭戦に移行です。

たぶん、ここまで豪華な玉頭戦はもう見れないはず。

最後は、大山先生の猛攻をしのぎ切った羽生五段の勝利。

今回の見どころ

・中飛車に対する舟囲い急戦のやりかた

・大山先生の攻撃を利用して厚みを作る羽生先生

・大名人二人による玉頭戦

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【NHK杯将棋観戦記】千田翔太七段vs阿部隆 八段~ハチワンシステムのような出だしと攻めのつなぎ方~

注意書き

将棋連盟の将棋連盟ライブ中継アプリ等(https://www.shogi.or.jp/lp/mr201704/ )を使って観戦を楽しんでいる方向けの将棋観戦記です。

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今回の対局の基本情報

棋戦名:第70回NHK杯将棋トーナメント

対局者:千田翔太七段vs阿部隆 八段

日付:2020.4.18

観戦記

さあ、はじまりました。今週のNHK杯ですね。

千田先生は将棋ソフト研究の第一人者で、新型角換わり・左美濃急戦などの定跡導入にも積極的な居飛車党。

対する阿部八段は、筋がいい将棋で、デビュー時は羽生先生のライバルと言われておりました。

出だしは、後手が雁木か振り飛車。角道を止めると、このどちらにも変化できるので、美味しいんですよね。自分もよくやります。

ハチワンシステムっぽいですね。

昔、書いた研究記事はこちら

この序盤の選択肢の多さから後手は端の位を確保しました。これは意外と振り飛車にすると存在感が大きくなります。

ということで、阿部先生は、向かい飛車を採用しましたね。

向かい飛車藤井システム(向かい飛車トマホーク含み)みたいな意欲的な序盤ですね。

向かい飛車は、急戦向かい飛車も穴熊に強いので、こちらを選ぶのはなにか研究があると思います。

千田先生はフォークの桂馬を招き入れる冒険の一手。

まとめきれるのかな。

力戦党の血がうづいているんですね。

ちなみに、自分は定跡からわざと外れたくなるタイプなので、レベルは違いますが、ワクワクします(笑)

中盤的に、千田先生持ち。主導権を完全に握っていますね。

居玉のままの後手陣は、なんとなく不安定で怖いですね。

じわじわとした削り合いの将棋になりました。

昨日のアベマでもでた攻防の角もでましたね。

中盤の攻防の角は好手になりやすい。なんとなく、ハチワンダイバーの準決勝を思いだします。

先手は歩を捨てて、陣形を崩す。つき捨ての攻めで、将来的な貯金を作る手。基本ですが、なかなか見えないんですよね。今日は勉強になる手筋が多いです。

最後は切れない攻めで一気に押し切りました。難解な局面が続いていたんですが、さすがは千田先生ですね。手筋を駆使しながら、攻めをつなぎました。

まとめ

今回の見どころ

・阿部先生の意欲的な序盤

・千田先生の剛腕ぶり

・中盤の手筋

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