ということで、この前の棋士団内研究会の感想戦、第二段です(^^)/
今回は、先手がぷいさんの四間飛車
後手が、自分で天守閣美濃を採用しました。
自分が最も得意な囲いである天守閣美濃を採用しました。
今回は捌かない振り飛車の勝ち方が裏テーマです。
振り飛車で捌かないってどういうことって考える人もいると思うので、ちょっと解説。
どうして、振り飛車なのに捌かないのか?
その理由は簡単。囲いが居飛車のほうが固いからです。
これは今回の将棋でも顕著ですね。捌くっていう行為は自分の陣地が固くないとできないんですよ。
居飛車急戦vsノーマル振り飛車なら、振り飛車側のほうが固い。だから、捌きやすい。船囲いは広いですが、横からの攻撃は「美濃」ほど固くないですもんね。だから、振り飛車=捌きの戦法という構図ができるんです。
そこで問題なのが、居飛車が振り飛車よりも固くなってしまった場合です。
つまり、居飛車穴熊やら4枚美濃を採用してきた時どうするか?

これは今回の盤面ですが、後手の居飛車の方が固いですね。王様は捕まりにくい中段にいるし、4枚の金銀で守る4枚美濃までできている。
こういう時は、振り飛車が普通なら有利になる飛車同士の交換をしても居飛車が有利になりやすいんです。振り飛車は、守りの金銀が3枚しかいませんね。だから、はがす駒の数的に、振り飛車が不利。よって、捌くのには慎重にならなくちゃいけない。
じゃあ、どうすればいいのか?
やりかたはふたつあります。
1)捌かない振り飛車の勝ち方
① 玉頭戦にもちこむ
玉頭戦というのは、囲いの上部で開戦する戦い方ですね。

これが一例。天守閣美濃は横からの攻撃には強いんですが、上からの攻撃にはめっぽう弱いんです。上からの攻撃に対して王様を守る駒も少ないですし……
だから、そこを攻める。そして、端攻めなどを絡めて上から押しつぶす。これが玉頭戦ですね。
4枚美濃対策の藤井システムもこちらの考え方に近いです。
② 飛車角をうまく使って抑え込む
これは、居飛車的な考えになりますが、じっくり相手の攻撃目標をかわしていく形です。こちらは難易度が高いので、熟練した技が必要ですね。いつもとは逆の将棋です。居飛車側に捌かせないように、振り飛車側が厚みなどを作っていく。大山名人の将棋に多いイメージですね。
2) 実戦譜
3) 感想戦
1~34手目
四間飛車vs四枚美濃の形へ。
ぷいさんが、天守閣美濃対策の「藤井システム」でくるかとドキドキしていたが、今回はノーマルな形に来たので、守りを固める方針にしました。
対局後に聞いたところ、対天守閣美濃はあまり経験がなくて戸惑っていたそうです。
自分は理想的な陣形を作り、一気に攻撃へとシフトします。
35手目 ▲6六銀
これは、悪手でした。
引き角があるので、向かい飛車の形にしないといけません。これは手筋ですね。
自分の攻撃が一気につながります。
39手目 △8五歩
これは自分の疑問手。飛車を捨てて、角銀を奪う方が定跡です。
ちょっと度忘れしていました笑
49手目 ▲8五飛車
これはちょっと悪かった。対急戦なら、捌いて振り飛車有利ですが、囲いの形的に居飛車側の方が固いので、捌きが発生すると居飛車有利です。
対急戦と対持久戦で、居飛車と振り飛車の価値観が変わってしまうので、とても難しいんですよね。

最善手は、▲6四歩での陣形崩しだと思います。
57手目 ▲5三歩
これが敗着の一手ですね。
5九歩として、防波堤を作るべきだったと思います。
58~70手目まで
これは、お互いの囲いの固さが如実に出ています。
はがし合いなら、数が多い居飛車有利。ぷいさんの手順はとても正確ですが、物理的な固さの違いに泣いていますね。

71手目 ▲8一歩
これは疑問手。
3六の位置に桂馬を打たれると致命傷になるので、そこを塞ぐべきでした。
それでも、居飛車優勢ですが、粘れる手順ができるので、紛れを作りやすくなります。
終局まで
あとは、居飛車側の攻撃が繋がる展開ですね。
ちょっと、もたつきましたが、重い攻撃と陣形の固さを生かして押し切りました。
(補足)
ちなみに、対天守閣美濃の藤井システムはこんな感じです。

有名な対局の盤面ですね。王様が7一の地点にいるのが特徴的。
この戦法については、ほとんどの本が絶版になってしまっているので、手にはいりやすい本のなかではこちらが詳しいです↓ これは、一冊で急戦から居飛車穴熊までカバーできるので、四間飛車党必読の名著!(^^)! 私も研究のお供にしています。

ちなみに、左美濃に関しては、玉頭戦の中で角と桂馬・香車の連係プレイで潰したりしますね。
詳しくは佐藤康光先生の囲いの破りかたなどを参考にしてもらえるといいと思います。
絶版になっていない本だとこちらがおすすめです。

