目次
はじめに
ということで今回は自戦記です。
このサイトは奇襲戦法・駒落ち・プロの観戦記が3本柱で、久しぶりの駒落ち記事です。
今回は、前回二歩突っ切り定跡で私を完封した3級の方へのリベンジ戦です。
前回は定跡通りに指して、私が完敗したので、駒落ち専門サイトの主として本気の勝負を挑みました。
D流二枚落ち裏定跡の奥義”上手6四金型位取り”を採用しました。

この定跡は、ぴよ将棋に駒落ち上手で勝つために開発した定跡で、相手が二歩突っ切りでも銀多伝でも対抗できるように独自開発したオリジナル定跡です。
この記事の進化版ですw
この定跡を初見で破ることができた場合は、ぴよ初段に匹敵するくらいの強さだと思います(笑)(実は、居飛車党になるために必須の知識が詰まっているので、教材としてもかなり有効です)
棋譜
感想戦
ということで序盤から、かなり飛ばしています。
この上手6四金型位取りは、私の棋風がもっともでやすく作っているので、玉頭に厚みが作戦の根幹。
あえて、中央の厚みを放棄しているのは、二枚落ち上手の戦略では中央の厚みを維持することができないためです。であれば、王様の安全に最も影響が出る玉頭付近の6~7筋に手厚い陣形を作って逆転を狙っていくのがこの戦法の骨子。
普通の駒落ち定跡だと、下手はゆったり囲ってから動くのがセオリーですが、この定跡はゆっくり囲おうとすると玉頭に上手の要塞が完成するため、下手がゆっくりしていると、完全に抑え込まれる危険性が高まります。また、仕掛けの権利が上手にもあり、より緊張感がある序盤になります。正直、上手側が自分でこんなに動くのはずるい気もするんですが、より平手に近い感覚になるのがメリット。
対人戦では、二枚落ちの基礎がしっかりできていると思った人にしかやりません。だから、ひよこにはたくさんやります。
平手定跡の勉強にもなるので、今回の場合は先にある程度、攻めの形を作っておくことをお勧めしております。
24手目

ここで、下手の方はカニ囲いを目指しましたが、そうすると自分の厚みを目指す理想形が完成してしまいます。そうすると下手の作った3~4筋の価値が相対的に低下します。2手後の△3四歩によって上手の飛車先の歩が抑え込まれてしまいます。
かといって、敵の玉頭に飛車を振ってもそちらでも厚みが完成していて、どちらでも抑え込まれやすくなってしまって、飛車の価値も低下させることができました。
厚みを志向してくる敵に対して、ゆったりしていると、好位置を抑えられて完封負けしてしまう。
いちおうこの戦法への対処法(=厚みへの対処法)としては、二点あります。
①速攻パターン(厚みの理想形完成前に攻めたおす)
②自分も厚みを作る
これは性格診断にもなっていて、①を目指す人は角換わりが得意、②が好きな人は矢倉や雁木が得意。勝手にそう思っています。
①のパターンならカニ囲いを作る前に、3四歩などで銀を叩いたりして、陣形を乱しておくといいですね。上手から見た左辺で主張を作るパターンです。
具体例:▲3四歩△2二銀▲4六銀 △7四歩▲3七桂△7三玉▲3五銀△5五歩▲4六飛△5四金▲5六歩△6四銀 ▲5八金右
②を目指すなら、6筋の位を取られないようにこちらも歩をついて、カニ囲いから矢倉を作っていくと一方的に厚みを作られないようになります。こちらは上手から見た右辺で主張を作るイメージ。
今回の下手はカニ囲いを優先したことで、抑え込まれやすくなり、上手の理想形を許す展開になりました。
中盤戦
ただ、この後の手筋の使い方がとてもうまかった。
お相手の方は攻めに定評がある棋風のように思います。46手目など歩を使った手筋がとてもうまいと感じました。
これが勝利につながらなかったのは、次の歩の連打の後のまとめ方がネックだったと思います。
60手目

ここで▲8三銀と打てたら、下手大優勢でした。ここらへんは厚みある陣形を作って逃げやすい局面を作っていた上手陣形の唯一のウィークポイント。下図のように銀と金を使って上下の挟み撃ちができていたら、ほぼ勝ちですね。

逆に、それを逃すと自分の陣形の厚みが生きる形となりました。
終盤戦
厚みは広さと同じ意味を持っているので、金銀が集結している上部にも、壁駒が少なくなった下部にも逃げ出すことができます。

今回は下手の攻め駒が少ないので、下部脱出を選択。
うまく逃げ込み、詰まない形を確保し、逆襲に転じました。龍を自陣の守りに転回するのは、永瀬二冠風です。

持ち時間が無くなった下手の方にミスが出て、時間切れとなりました。
この時間切れについては、相手の方も相当悔やんでいらっしゃって、何度も謝っていただきました。自分としては、しっかり考えた上のミスなので、そこまで気にしなくていいと思います。誰もが一度はやったことありますよね(;^ω^)
まとめ
今局は厚みの有効性を強く示したものにすることができました。
居飛車党として、厚みの感覚を養うためにはいくつか方法がありますが、自分の場合は以下のことをおすすめします。
①二枚落ち定跡をしっかり理解する(厚みから攻撃に移る手法をおぼえられる)
②駒落ち上手を積極的に持つ(厚みを使って受けて抑え込み、逃げる技術を学べる)
このふたつをバランスよく学ぶと厚みある将棋の理解が深まります。
また、位や厚みについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、よかったらどうぞ。
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