目次
注意書き
将棋連盟の将棋連盟ライブ中継アプリ等(https://www.shogi.or.jp/lp/mr201704/ )を使って観戦を楽しんでいる方向けの将棋観戦記です。
ただし、将棋連盟から「棋譜利用に関するお願い」(https://www.shogi.or.jp/news/2019/09/post_1824.html )という通達も出ているのでこれを遵守して、観戦記を書いていこうと思います。
・棋譜と図面を使用しない
・読者の方が上記のアプリを使用して棋譜並べをする参考になるように、序盤の構想のどこがおもしろいのかや、終盤の注目ポイントを簡潔に述べる
・あくまで、 将棋連盟ライブ中継アプリ等 のバックナンバーで参考になる対局紹介というレベルで抑える。
今回の対局の基本情報
棋戦名:第33期竜王戦1組ランキング戦
対局者: 羽生善治 九段 vs. 稲葉 陽 八段
日付:2020.4.3
観戦記
さあ、今回は羽生先生の棋譜紹介です。
この前の竜王戦からですね。
戦型は角換わりです。
角換わりもソフトの影響で、かなり進化し続けています。
その中でも驚くのは、三すくみ関係(腰掛け銀→早繰り銀→棒銀→腰掛け銀)の再評価ですね。
ソフト誕生前は、三すくみが研究によって崩れて、腰掛け銀1強という結論になったのですが、最近はさらに研究が進み、腰掛け銀の王座が陥落。
早繰り銀でも、棒銀でも腰掛け銀相手に意外と戦えることがわかってきました。
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詳しい話はこちらの本の7章・8章をご覧ください。腰掛け銀を避けて、棒銀や早繰り銀を堂々とさせるようになったのは、アマチュアの居飛車党歓喜ですよね(オールラウンダーも含む)。
正直、↑の本は、居飛車を指す方は必須に近い内容になりつつあります。
今回は、羽生先生が先手早繰り銀にしました。
早繰り銀は火力抜群だけど、△5五角などカウンターが怖い。
持久戦になったらどうすればいいのかわからない。
そういう時は、この棋譜を並べましょう。
羽生先生の手順は、かなり示唆に富んでいます。
ちなみに、↑の本だと322~326頁を併用して読めばより理解が深まります。
中盤は、3・4筋の厚みを確保した稲葉先生が、かなり指しやすそうな印象でした。
羽生先生の攻めが意外と押し込まれていて、難しいねじり合いが続いておりました。
ただ、一瞬のスキを見つけて、厚みを切り崩した羽生先生の中盤力はさすがの一言。
一気に攻めを加速して、稲葉先生を受けに回りました。
しかし、さすがは粘りの将棋。
羽生先生の伝家の宝刀ともいえるほどな華麗な攻めを淡々と受けて粘り続ける様子は、とてもおもしろいです。
最後は羽生先生の飛車の華麗な跳躍があり、稲葉先生の粘りを沈めました。
歩を使った縦の攻めから、縦横無尽に動く飛車。
ここら辺はとても勉強になるので、ぜひとも並べてみてください。
まとめ
今回の見どころ
・早繰り銀のさしこなしかた
・厚みを切り崩す羽生先生の攻めの切れ味
・歩を使った攻めと、それに対する稲葉先生の粘り