【古典棋譜鑑賞会】天野宗歩の石田流~棋聖の脅威のスピード感覚~

はじめに

現代プロの棋譜は、将棋連盟のお願いによって規制されている。

ならば、著作権が完全にきれてパブリックドメインになっている古典棋譜を解説すればいいじゃない。

ラッキーなことに、私は趣味で歴史研究もしているので、古い本を読むのもまあまあ得意。さあ、レッツゴー国立国会図書館。

ということで、今回は国立国会図書館に収録されている『将棋手鑑』からの解説です。

国立国会図書館のデジタルライブラリーから、大量の古典将棋のデータをダウンロードしてきたので、現在は翻訳作業中です。

こちらのプロジェクトもその一環です。

今回は、前述の 『将棋手鑑』 11-12頁の内容の天野宗歩の香車落ちを取り上げようと思います。

天野宗歩は、振り飛車のさばきや終盤力が絶品なので、ぜひとも並べてみてください!

棋譜

解説

今回は、上手が天野宗歩です。この時、若干16歳。

下手が久田弥三郎というひとです。

天野宗歩は、石田流+美濃囲いに組みました。この時期は、美濃囲い黎明期に近いのですが、本当に現代的な駒組ですね。

それに対して、下手は、舟囲いから厚みを持った陣形で石田流のさばきを抑え込もうとしています。

38手目▲5七銀

そして、攻めのスピード感の違いが如実に出ている棋譜でもあります。

例えば、下手のこの一手。

40手目▲1六飛車

この手は香車がいない場所を狙っていますが、やや攻めが遅いです。それに対して宗歩は、中央付近の歩交換の反動をうまく利用して、高美濃を作り、将来的な左銀の攻めを実現させていく。

相手の力をうまく利用して、投げ飛ばす感じですね。振り飛車のこういうカウンターもとても勉強になります。

特に、50手台のさばきの感覚はやばいです。

↓飛車と銀桂の2枚替えで一気に優勢へと持ちこんでいますね。

56手目▲4六金

囲いの固さを考慮すれば、さばきが大成功してます。下手の飛車も正直、いい位置にいるとはお世辞でも言えないですからね。

振り飛車の左辺をうまくさばいた後は、銀を使って舟囲いの弱点である縦の攻めを断行。舟囲いのメリット広さを上から押しつぶして、逃げ場を封鎖し、攻めの形がうまく整わない下手をよそに、横からの攻撃も加えて二方面作戦でサクッと舟囲い潰しです。

93手▲6八金(終局図)

こちらが終局図。一応、一手差になっていますが内容的にはかなりの大差であるように感じました。

終局図以下の詰みの一例は

▲同 角△6九銀▲8八玉 △6八龍▲9七玉△7九角▲8六玉△8五銀▲同 玉△7四金▲7六玉 △6六龍▲同 玉△6五金打ですね。

棋譜データ

手合割:香落ち

△3四歩 ▲7六歩 △3三角 ▲2六歩 △3五歩 ▲2五歩
△3二飛 ▲4八銀 △6二玉 ▲5六歩 △4四歩 ▲6八玉
△4二銀 ▲7八玉 △4三銀 ▲4六歩 △4二角 ▲4七銀
△3四飛 ▲1六歩 △5四歩 ▲1五歩 △7二玉 ▲5八金右
△5二金左 ▲9六歩 △9四歩 ▲2六飛 △8二玉 ▲3六歩
△同 歩 ▲同 銀 △3五歩 ▲4七銀 △7二銀 ▲6八銀
△3三桂 ▲5七銀 △5三角 ▲1六飛 △6四歩 ▲3七桂
△6二角 ▲5五歩 △同 歩 ▲同 角 △6三金 ▲6六角
△5四銀 ▲3六歩 △同 歩 ▲3五歩 △3七歩成 ▲3四歩
△4七と ▲同 金 △2五桂 ▲3三歩成 △6五銀 ▲8八角
△7六銀 ▲1四歩 △5六歩 ▲6六銀 △4五歩 ▲5六金
△2七銀 ▲7七歩 △6五銀 ▲同 銀 △1六銀成 ▲4三と
△3八飛 ▲5八歩 △6五歩 ▲7九角 △5五歩 ▲5七金
△4六歩 ▲3二飛

その他、天野宗歩関係の記事はこちら

https://dnovel.net/archives/tag/%e5%a4%a9%e9%87%8e%e5%ae%97%e6%ad%a9

投稿者:

D

小説家になろうで、小説を書いています。 得意ジャンルは、ラブコメ、SF、歴史もの。 このサイトでは、オリジナル小説・詩・ゲームの紹介や読んだ本の書評をしていきたいと考えています!

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