目次
注意書き
将棋連盟の将棋連盟ライブ中継アプリ(https://www.shogi.or.jp/lp/mr201704/ )を使って観戦を楽しんでいる方向けの将棋観戦記です。
ただし、将棋連盟から「棋譜利用に関するお願い」(https://www.shogi.or.jp/news/2019/09/post_1824.html )という通達も出ているのでこれを遵守して、観戦記を書いていこうと思います。
・棋譜と図面を使用しない
・読者の方が上記のアプリを使用して棋譜並べをする参考になるように、序盤の構想のどこがおもしろいのかや、終盤の注目ポイントを簡潔に述べる
・あくまで、 将棋連盟ライブ中継アプリ のバックナンバーで参考になる対局紹介というレベルで抑える。
今回の対局の基本情報
棋戦名:第69期王将戦
対局者: 渡辺明王将vs広瀬章人八段
日付:2020.3.26
観戦記
すごかったですね、王将戦。
ギリギリの戦いを制して、渡辺王将がタイトル防衛です。
今回の第7局は、矢倉vs右四間飛車の形になりました。
矢倉には、5手目論争があります。
▲6六歩
▲7七銀
▲7七銀 (昭和期)→ ▲6六歩 (平成)→ ▲7七銀 (平成末~令和)と大まかに言えば、流行がこんな感じに変わっていました。
▲6六歩 のほうが、急戦に対して対処しやすく、攻撃力ある4六銀3七桂などに組めるため、主流になっていたんですが、左美濃急戦と4五歩反発の新手がソフトによって生み出されると、 ▲6六歩 が壊滅。一気に昭和期の ▲7七銀 に戻った流れがあります。
ただし、 ▲7七銀に有効になる急戦が多く、現在では、矢倉は相矢倉のようにがっちり囲う展開が激減し、急戦を中心に回っている状況になっています。
後手の広瀬先生は、右四間飛車を採用しました。
右四間飛車は、アマの矢倉党を悩ませる戦法ですよね。
▲6六歩 定跡の本なんですが、私が読んだ中で一番わかりやすいので紹介。
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こちらの本の6~7頁だけでも読んでおくと、右四間飛車への対処法がよくわかります。
今回の対局でも ▲7七の地点にいるはずの銀が一度、引いて、角がいつもよりも前に出ているのは、対右四間飛車を強く意識しているのです。
右四間飛車の攻撃が始まるのをどう押さえ込むか、そしてどう主導権を握るか。渡辺王将の工夫と苦悩がよくわかる棋譜になっていますねw
中盤の流れは、ちょっとアマにはまねしにくい形ですが、今回の注目点は終盤です。
ただ、2・3筋の厚みから攻撃を作り出していくのはとても勉強になりました。厚みってアマではあまり重要視されませんが、やっぱり攻撃を繋げやすくなりますからね。
渡辺先生が、じっくりとしかし着実に勝ちやすい手を連発しているのです。
早く勝ちにいかずに、じっくりと寄せやすい形に誘導し、敵陣を切り崩していく実戦的な勝ち方を堪能してください。
まとめ
今回の見どころ
・右四間飛車をめぐる序盤の攻防
・厚みを活かした攻撃
・終盤の陣形の切り崩しかた