目次
はじめに
今回は、駒落ち上手・下手を持つことの利点・メリットを考えていきます(笑)
駒落ち上手のメリット
私が考える駒落ち上手のメリットは以下の通りです。
・受けが鋭くなる
・駒組に敏感になる
・相手の悪手に敏感になり、間違わせる方法がわかってくる
・終盤で怪しい逆転の勝負手を放つことができるようになる
受け
まず、受けが強くなりますね。
これは当たり前と言えば当たり前なんですが、角落ち・香車落ちを除けば、下手側から攻撃されることが普通です。
なので、ひたすら受けまくらなくてはいけない。
そうすることで、受けの技術が磨かれていきます。
大山康晴十五世名人が、修行時代駒落ち上手をたくさん指して、逆転する力を身につけたと本に書いてありました。
特に、アマ三段以上は受けがうまくならないと厳しいと言われています。
だから、有段者になったら積極的に駒落ち上手を持つことが必要になってくるのだと思います。
駒組
次に、駒組に敏感になります。
これも当たり前ですが、駒が少ないので変な組み方をすると一撃で持っていかれますw
なので、慎重に駒組をすることとなり、駒組がうまくなります。
そうするとどうなるか?
力戦に強くなるんですよね。大山康晴名人は、やはり力戦の名手と言われて、振り飛車党に転向する前は、居飛車力戦で一時代を築いていました。
また、嬉野流の考案者さんも、駒落ちをたくさんやっていてその経験を嬉野流に生かしたとインタビューで答えていたこともおぼえています。
力戦での駒組力があがるので、棋力アップ間違いなしですねw
悪手への対応力
相手の悪手に敏感になり、間違わせる方法がわかってくるのも特徴です。
基本的に相手が大優勢のまま将棋となるので、どこかで相手に悪手を指させなければいけません。
相手が間違えたら即座に咎める。そうしないと逆転できませんからねw
終盤で怪しい逆転の勝負手を放つことができるようになる
これも強くなりますw
相手が意外と強くて、終盤まで大劣勢で来てしまった。
このままではズルズル負けていく。
じゃあ、どうするの?
悪手でもいいから勝負手放つしかないでしょ(笑)
・とりあえず、詰めろをかける
・連続王手で、相手の頓死を狙う
・王手飛車取りの筋を狙っていく
などなど。
駒落ち上手をもつひとなら、こういう罠をしかけることが可能でしょうw
上手なのにずるいとか言われてしまうかもしれませんが、終盤は切り合いの世界です。
これでつまづく下手側の方が悪いくらい吹っ切れないと、お互いに勉強にならないお行儀のいい指導対局になってしまいます。
駒落ちはお互いに終盤の力を磨き合う大切な場所です。
全力で、敗勢に抗いましょう(笑)
駒落ち下手の効能
さて、次に駒落ち下手の効能です。
これは結構、言い古されていますが、私なりの見解を述べてみたいと思います。
・将棋の代表的な攻撃方法を学ぶことができる
・広い王様をしっかり寄せきる実戦的な終盤力が身に付く
・上手のカウンターを受けきる手筋が身に付きやすい
・自然と初段レベルの手筋が身に付くようになっている
これらを解説していきたいと思います。
将棋の代表的な攻撃方法
これは将棋大観の駒落ち定跡が下手が徐々に上達するような意図をもって作られているからです。
まず、八枚落ちです。
八枚落ちは基本的に棒銀で戦うことになります。
理にかなっていますよね。将棋の攻めの基本は棒銀ですから、まずそこから学ぶというのが駒落ち定跡のはじまりなのです。
そして、六枚落ち。
これは、1筋もしくは9筋からの端攻め定跡となります。
棒銀で基本の攻撃方法を学んだあとに、今度は端攻めのやり方を左右どちらも学ぶ。
平手定跡では、端攻めは囲い崩しの基本です。よって、棒銀の次はその囲いの崩し方を徹底的に叩きこむ。
このふたつで基本的な将棋の攻め方を、初心者は学ぶことになります。
その後は、四枚落ちです。
この基本定跡は、棒銀です。しかし、単純棒銀ではなかなか守りを崩せないので、そこに端攻めを絡ませなくてはいけません。
それはつまり、六枚・八枚落ちで勉強したことの復習&応用問題となっているわけです。
ここで基本的な攻撃方法、つまり端攻め&飛車と銀の連携方法を身につけるようになっているのです。
そして、いよいよ二枚落ちです。
こちらは、「二歩突っ切り定跡」・「銀多伝」の二つの定跡を学びます。これらの定跡の意味は、ずばり「厚さ」
盤の中央付近を、自軍の勢力圏として確保して、その勢力圏を活かして攻撃を組み立てる。結構高度な戦い方を分かりやすく学ぶことができるのです。
そして、このあたりから、しっかり囲って開戦するという将棋の基本も徹底されるようになります。
二枚落ちの定跡は、居飛車全般・四間飛車・中飛車の定跡の基本となる部分も内包しているので、この定跡だけは駒落ちに興味がない人でも覚えて欲しいです。
そして、飛車落ち。
こちらは、「右四間飛車」を学びます。
右四間飛車とはつまり、歩・桂馬・角・銀・飛車の集中投下による敵陣の突破法を勉強します。敵の守備力も巨大になっているので、総力戦で攻撃を行う方法となるんですね。
最後は、角落ち。
これは、矢倉・振り飛車など、平手と同じもしくは、近い定跡を使います。
ここは、もうほぼ平手と同じです。
今まで学んだ攻め方で平手の準備をしましょうと言うのが、駒落ち定跡の言いたいことなんですね。
広い王様をしっかり寄せきる実戦的な終盤力が身に付く
こちらもわかりやすいですね。
定跡が成功したら、あとは寄せるだけです。
しかし、駒落ち上手の陣形は結構逃げ場が広い。
下手に王手をかけてしまうと、簡単に入玉されて勝てなくなってしまう。
だからこそ、試行錯誤して、相手玉の寄せ方を学んでいくんですね。
そうすることで実戦的な勝ちやすさを身につけることができます。
上手のカウンターを受けきる手筋が身に付きやすい
上手は負けそうになると、最後の希望をかけて、苦し紛れの攻撃をしかけてくることが多くあります。
そして、ミスをすると即詰みになる巧妙な攻撃を……
その巧妙な攻撃を冷静に対処して、勝ち切る技術を学ぶことができます。
自然と初段レベルの手筋が身に付くようになっている
そして、駒落ち定跡は手筋の宝庫です。
垂れ歩、端攻め、各種寄せの技術などなど。
手筋本何冊分もの手筋を実戦で身につけることができます。
初段になるための最短ルートとして、駒落ち定跡は存在しているのです。
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