将棋ソフトとの駒落ち戦のすすめ(おすすめの理由・ソフト・定跡本全部解説)
ということで、最近、私がはまっている将棋ソフトとの駒落ち戦について解説していきます。
なぜ、将棋ソフトとあえて駒落ちで戦うのかというと……
目次
① ある程度の駒落ち定跡を知っていれば、終盤勝負になりやすいから
これが、一番の理由です。
将棋ソフトは駒落ちの定跡が入っていないことも多いので、ある程度の知識があれば優勢のまま終盤に突入します。
将棋で一番大事な技術は終盤力。これはみんな納得するところでしょう。
終盤に自分が有利~優勢のまま突入したら、あとは寄せ切るだけです。
しかし、ソフトの終盤力は、弱いソフトでもアマトップ以上、つまりプロに匹敵する力を持っています。
おそろしいほどのしのぎの手順を見せて、下手側を間違わせてくるのです。
ソフトとの駒落ち戦は、相手が最善手を指してくる終盤において、しっかりと勝ちきれるかどうかの勝負となります。寄せ間違えたら、即死亡なので緊張感もちがいますw
実戦的で過酷な状況で、バンバン終盤力を鍛えることができるのです。
家やスマホにプロクラスの終盤の先生が常駐しているのだからこれを利用尽くさない手はありません。
② 手軽
そして、かなり手軽です。
ぴよ将棋か将棋ドロイドをスマホに落とすだけですぐに対局できます。
最近、仕事が忙しいのであまり将棋ができないんですが、移動中やベッドでゴロゴロしながら駒落ち勝負ができるのは嬉しい限りです。
将棋ドロイドで、知識があれば強いソフトをいれられますし、標準のGPS FISHでもかなり強いです。
ぴよ将棋・GPSともにアマトップレベルの実力があるので、終盤力もぴかいちです。
③ おすすめソフトと手合
私がおすすめするソフトは、PCであれば激指シリーズ、スマホならぴよ将棋かGPS将棋です。
これらは本当にテンポよく指してくれるので、ストレスフリー。
PCのフリーソフトも強くていいんですが、思考時間をいじくったりしないとテンポが悪いんですよね。これらはかなりユーザーフレンドリーなソフトたちなので、ストレスなく勉強ができます。
手合いのおすすめは、駒落ち定跡の知識などもあるので一概に言えませんが、とりあえず2~4枚落ちがいいのではないでしょうか?
特に、『定跡なんかフッとばせ』『駒落ちの話』という名著に書かれていますが、実は二枚落ちの定跡「二歩突っ切り」・「銀多伝」の定跡は四枚落ちにも応用可能なんですw
つまり、どちらかの定跡を軽く覚えてあとはソフトと実戦練習すれば、二枚落ち・四枚落ちどちらにも対応可能(笑)
そのまま終盤力をバンバン鍛えることができますw
④ おすすめ定跡書
また、二枚落ち定跡は手筋の宝庫です。ちゃんと覚えれば、数冊分の次の一手問題集と同じくらいの価値になりますw ↓の本をおすすめします。
『駒落ちのはなし』(先崎学)
『 「次の一手」で覚える 駒落ち定跡コレクション404 』
もし、平手定跡と同じ定跡を使いたかったら、高橋道雄先生の本がおすすめです。
ただ、手筋力を極めるなら、銀多伝や二歩突っ切りをおすすめします。このふたつは居飛車党や中飛車・四間飛車党におすすめの厚みの力強さを堪能できる定跡なので、ぜひとも極めてください。
矢倉・四間飛車・三間飛車党のかたはこちら↓
『駒落ち新定跡』
棒銀・中飛車党のかたはこちら↓
『棒銀と中飛車で駒落ちを勝て!』
⑤ おすすめ定跡本を使った勉強法(2019.11.29日加筆 )
駒落ち定跡勉強法
正統な駒落ちの勉強をしたい方々向けに、私おすすめの勉強法を紹介します。
①『駒落ちのはなし』or『駒落ち定跡』を買ってくる
・とりあえず基本書です。手に入りやすいのはこの二冊。
それぞれの特徴をレビューすると……
『駒落ちのはなし』
(メリット)
・8枚~2枚落ち定跡を取り扱う
・上手目線のはなしも多くて、実戦的でわかりやすい
(デメリット)
・飛香落ち~香車落ちの定跡は収録されていないので、網羅性が劣る
『駒落ち定跡』
(メリット)
・8枚~香車落ちまでの基本駒落ち定跡を収録
・圧倒的な網羅性
・あの藤井聡太七段もアマチュア時代に愛用していた名著
・羽生善治九段推薦!
(デメリット)
・分厚い
・勝ちにくい定跡も紹介されている
基本書としてはほぼ、互角です。大学入試で例えると、『駒落ちのはなし』はわかりやすい実況中継シリーズ。『駒落ち定跡』は、硬派なチャート式みたいな(伝わるかな?)
悩んだら『駒落ちのはなし』をおすすめします。最初から『駒落ち定跡』を選んでも挫折する可能性がありますし……駒落ち沼にはまるとどちらも欲しくなります(笑)
② 基本書をとりあえず一周かるく読む
無理しておぼえる必要はありません。
こういう流れなのかと読み流しましょう。
③ 『次の一手でおぼえる駒落ち定跡コレクション』を買う
基本書が終わったら、問題集です。まるで、資格試験ですね。この問題集は本当によくできているので、手筋本としても優秀です。
中盤~終盤力がかなり身につきます。
④問題集を解く
とりあえず、一章ごとに問題集を解いていきましょう。
正答率は、こだわらなくてOK
⑤問題集を一章解いたら基本書の該当部分をもう一度やり読み直す
こうすることで定跡の理解が深まります。
これで二枚落ち制覇まで頑張ってみてください。
二枚落ち以上は、難しい定跡になるので、二枚落ちまでを完璧にすることを目標に③~⑤を繰り返しましょう。
⑥ 駒落ち名人のエピソード集(番外編、2019.11.30日加筆)
駒落ち名人と呼ばれたプロたちの棋風やおもしろいエピソード紹介( ゚Д゚)
駒落ち名人とよばれたプロ棋士たちの棋風や面白いエピソードを紹介していきます!
紹介するのは、灘蓮照九段・花村元司九段・大山康晴十五世名人・加藤一二三九段
灘蓮照九段
前回の記事でも紹介しましたが、灘流矢倉という▲3七銀戦法の源流をつくった偉大なる棋士です。
駒落ち名人とも呼ばれて、「アマ初段相手に八枚落ちで勝つ自信がある」と豪語し、「アマ四段を相手に四枚落ちで三面指しを行って全勝した」というとんでもエピソードを持っている史上最強クラスの駒落ちの名手です。
いつも紹介する『駒落ちのはなし』『定跡なんてフッ飛ばせ』でも、8枚落ち・4枚落ちの「灘定跡」というものが紹介されており、本気で8枚落ちでアマチュアに勝つつもりだったとか……
廃刊してしまった『将棋マガジン』の企画で、「灘に四枚落ちで勝てば二段免状を進呈」というものをやったそうですが、二段クラスの実力者たちに11勝1敗という実力を見せつけました。
まさに、最強クラスの駒落ち名人……
花村元司九段
上述の灘九段と花村九段は駒落ちの双璧のような存在で、圧倒的な実力を持っていました。
おそらく、賭け将棋で生計をたてていた時代に、おぼえた芸なんでしょうね。
『ひっかけ将棋入門』などでは、歩を一枚懐に入れてイカサマしたというとんでもエピソードも披露していましたが、2枚落ち上手の裏定跡「5五歩止め」にたいして△5四歩の段階で、▲5六歩と突くべきだというのは、下手にとっての真理だと思います。
紛れを許さずに、理想形に組むための布石となっているんですよね~
著書の『よくわかる駒落ち』も名著として有名です。
師匠の木村名人の『将棋大観』を改良している駒落ち定跡の発展に大きな影響を与えた偉大な著作です。
復刊希望(駒落ち本は絶版になりやすい( ;∀;))
大山康晴十五世名人
大山名人も駒落ちでのエピソードに事欠きません。
修業時代は、代稽古で桂馬落ちやら金落ちなど変則的な駒落ちも積極的に受け入れていたとかなんとか……
その過程で、強靭な受けや逆転する力を身につけていったのでしょう。
また、指導対局にも定評があり、下手側に好手を出しやすい局面に誘導して、ヒントを与えて気持ち良く勝ってもらうようにしていたそうです。さすがは大名人。
しかし、ガチな駒落ち勝負では、アマ五段に二枚落ち上手で勝ちきったというすさまじいエピソードも……
受けの名手だけあって、駒落ちでも受け将棋だったそうです。
加藤一二三九段
最後はみんな大好きひふみんです。
バラエティー番組でも大人気の加藤九段ですが、実は駒落ちの名手として有名です。
駒落ちの上手だと受けに回ることが多いんですが、ひふみんの駒落ち上手の真骨頂は攻めだと言われています。
角落ち上手の名手であり、積極的に攻めていく重厚な棋風。
全盛期の小池重明氏にも、角落ちで勝利している実績。
五面指しで、アマ高段者たち相手に二枚~平手で全勝。そこには、アマたちの囲いの姿焼きだけが残っていたという伝説……
闘志むき出しのオーラに圧倒される。みんなが口々にそう言っているのも特徴です。
お互いに全力を尽くさなくては、意味がないという勝負哲学。
さすがは神武以来の天才。
⑦ 将棋でオールラウンダーを目指す人向けの駒落ち活用法(2019.12.12追記)
今回は、今まで振り飛車党または居飛車党一本だったひとが、他の戦法も学びたいと思った時、まず駒落ちでワンクッションいれてから、感覚をつかんでいくとわかりやすいと思います。
なので、おぼえたい定跡別に私がおすすめする駒落ち定跡を紹介します。
振り飛車編
①中飛車
・二枚落ち銀多伝定跡
・角落ち中飛車定跡
二枚落ちで、中飛車の手厚い指しまわしをおぼえたうえで、今度は角落ちで振り飛車のさばきを勉強する二段重ね。
これである程度中飛車のコツをつかむことができると思います。
②三間飛車・四間飛車
・角落ち振り飛車定跡
このふたつで重要なことは、振り飛車のさばきです。
居飛車に手厚い陣形を作られたとき、どう駒を捌いて厚みを切り崩すのか。
振り飛車の基本となる考え方がこちらの定跡からまなぶことができます。
③相振り飛車
・六枚落ち9筋突破定跡
・香車落ち下手
振り飛車の基本は、端攻め!
六枚落ち9筋突破定跡で、相振り飛車に必要な端攻めの基本を叩きこむ。
そして、その基本を香車落ちでためしてみましょう。
香車落ちでは、相手は振り飛車にせざるを得ない状況なので、ほぼ確実に相振りを勉強できます。
また、相手の左香がいないので、向こうから端攻めをされる心配も少ないので、こちらから攻めるやり方を学ぶことができるのでおすすめ。
居飛車編
①棒銀
・八枚落ち棒銀
・四枚落ち棒銀
八枚落ちで、基本となる棒銀の突破戦法をおぼえる。
そして、四枚落ちで、端攻めも絡めた攻撃方法をおぼえる。
これができれば、基本的な相居飛車(矢倉・角換わり・相がかり)での棒銀の基本手筋はOKだと思います。
②右四間飛車
・飛車落ち右四間飛車
対矢倉or対振り飛車で、相手の人が角道を閉じた場合の有力手段である右四間飛車の基本が詰まっています。
この定跡はとても難しいんですが、だからこそマスターできれば右四間飛車の使い手としてのスタートを切ることができます。
③矢倉
・六枚落ち1筋突破定跡
・飛車落ち引き角戦法
・角落ち矢倉定跡
まず、六枚落ちで矢倉崩しの定番でもある雀刺しを勉強です。香車と飛車のロケットを作り出して一撃で敵陣の端を食い破る方法を学びます。
それをマスターした後、飛車落ちの引き角戦法です。
これは矢倉での角の使い方を学ぶものです。
また、藤井流早囲いでもよく使える定跡になるので、おぼえて損なし。
最後に、相手から積極的に動いてくる角落ちの矢倉定跡です。平手矢倉の駒組は、出来上がるまでは急戦との戦いでもあります。
バランスを取りながら、矢倉を完成させて、ねじりあう。平手に近い感覚で戦えるので、とてもおすすめです。
➇ 駒落ち上手がうまくなるためのおススメ棋書紹介(2019.12.15追記)
駒落ちは楽しいです。
しかし、上手目線で書かれた本が少ない(笑)
下手は持ちたいけど、上手はもちたくない。そう言う人も多いのではないでしょうか。
ということで、上手を持つ人が参考にしやすい棋書を二冊ほど紹介します。
A『駒落ちのはなし』
これは下手の基本書としても紹介しましたが、上手目線の内容も豊富です。
8枚落ちの灘定跡しかり、二枚落ち定跡の上手の切り札などなど。
かなり、上手にも力を入れて書かれています。
8枚~2枚までは基本的にこの本で上手の知識はOKですw
そして、それ以上の手合いで上手を持つには次の本がおすすめ(^^)/
B『駒落ちテクニック』
紙の本は絶版になってしまいましたが、電子書籍で嬉しい復活を遂げました。
605円という安さも魅力的な駒落ちの名著。
こちらは『駒落ちの話』で書かれていない飛車落ち・角落ちの定跡もカバーできます。
二枚落ち~角落ちをカバーする本ですが、上手目線の表記も多いのが特徴です。
特に角落ちでは、上手の戦略を詳細に検討しているコラム付き。
このコラムだけでも読む価値はあります。
本当に電子書籍で復活してくれてよかった名著です。
桐山先生・創元社さんほんとうにいい本をありがとうございますm(__)m
コラム 駒落ち下手で右玉・風車はどうして反則的に強いのか?
駒落ち下手において、反則的に強い戦法があります。
対人戦においてこの戦法を使うことは、自主規制したほうがいいともいえる戦法、それが「右玉」・「風車」です。
二枚落ち以下でこの戦法を下手で使う場合は、もしかするとトラブルの元にもなりうるのでご注意を(;’∀’)
どうして、この戦法がそこまでタブー化されているというのかというと……
①本来、攻撃を学ぶ下手が、ひたすら受けに回ることが本末転倒という意見がある
②そもそも、上手が右玉・風車を打開する大駒をもっていないので、千日手にしてひきわけを狙うのが最善という対局にならなくなってしまう危険性
③上手が無理やり打開するとすると、膨大な損害を出すしかないので、下手が簡単に勝ててしまう(=下手にとっては負けない戦法)
こんな感じで、意外と気をつかいます。
ここら辺の感じ方は個人の完成に大きく左右されるので(;’∀’)
ちなみに、私が上手を持った時は、下手に右玉・風車をしてもらってOKです。それようの定跡をぴよと一緒に作っている最中なので(笑)
さて、その禁断の果実を実際に使用した場合はどうなるか。
最後に、タブーなんて関係ないぴよとの練習対局の様子を掲載して、コラムを閉じます。
ぴよ四段がなすすべなく、歩を特攻させて、完封される将棋になっているので、駒落ち右玉の凶悪性がわかるはずです(;’∀’)
コラム 二枚落ち以下で三間飛車は勝ちにくいというお話
さて、またまたコラムです。
平手定跡を応用して、駒落ちもやりたいという人も多いと思います。
それはそれでバンバンやってもらいたいんですが、ひとつだけ平手戦法の応用で勝ちにくい戦法があるので、そちらをご紹介します。
それが二枚落ち以下の三間飛車です。(特に二枚落ち。※飛車落ち・角落ち・香車落ちはその限りではありません)
どうして、三間飛車が勝ちにくいのか。
いくつか挙げると
①上手陣が、厚みを作り出して抑え込みを狙ってくるから。
飛車と角がいない分、相手は防御陣地の構築が迅速です。
平手感覚で指すと結構な確率で押さえ込まれてしまいます。
②さばきの狙いになる飛車・角の不在
相手の陣地にさばきの狙いになる飛車・角が不在です。
さばきがモットーの三間飛車が、さばきができないのは結構厳しいです。
その点、四間飛車・中飛車は厚み勝負も可能なので、三間飛車よりも勝ちやすいイメージですね。
それでも三間飛車を指したい人はこちら↓
価格:1,100円 |
三間飛車のさばきを成立させるために、振り飛車穴熊を採用することをおすすめする画期的な駒落ち定跡です。
穴熊の固さを活かして、三間飛車のさばきを強引にでも成立させてしまうまさにコロンブスの卵的な駒落ち定跡ですね。
石田流まで繰り出す発想がすごいです!?
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