目次
はじめに
それでは今日は糸谷哲郎八段の棋風を研究していきたいと思います。よく、ニコニコ生放送などでも解説に登場している人気棋士ですね。
経歴
若手時代から将来を嘱望されていて、豊島、村田、稲葉とともに「関西若手四天王」、佐藤・広瀬・高崎・戸部とともに「平成のチャイルドブランド」などと異名を持っていました。元祖チャイルドブランドが「羽生世代」のことなので、どれほど期待されていたかがよくわかりますね。
村山聖・山崎・千田などを要する名門森信雄門下。
デビュー戦で橋本崇載(のちにA級)に勝ち、彼が「強すぎる。怪物だ」とつぶやいたエピソードがあります。デビュー年に新人王・連勝賞・新人賞を同時受賞するという衝撃的なデビューをしました。
また、学業成績も優秀で、プロ入りから1年後大阪大学に合格し、大学院まで進んで哲学を研究していたインテリ。
早指し戦に強く、2009・2010年にはNHK杯で二連続の準優勝。準決勝で、同じ角換わりのプロフェッショナル丸山忠久を39手で完勝しています。
2011年、銀河戦でも準優勝。
2014年、森内九段を破り、竜王位獲得(一年後に陥落)。故・村山聖九段すらなしえなかった森門下初のタイトルホルダーとなりました。
2016年、王座戦挑戦など
このように若手のトップ集団を走ってきた立派な功績を誇っています。
棋風
居飛車党で、角換わり・一手損角換わりの専門家です。
「一手損」冬の時代でも、兄弟子の山﨑八段・角換わりの専門家の丸山忠久九段ともに採用し続けてきたプロフェッショナル中のプロフェッショナル。
一手損角換わりの「相早繰り銀」・対振り飛車用の「糸谷流右玉」・「坂田流向かい飛車」の再評価など、定跡面でもかなりの功績を残しています。
インテリな経歴でありながら、将棋は腕力勝負なところがおもしろいですね。
あまり、がんじがらめに囲いを作らずに、薄い囲いで盤面全体のバランスをとって戦う棋風です。
一手差勝ちを目指す切りあいに特に強さを発揮する将棋。
角換わり:一手損角換わり:対抗形=6:3:1くらいの割合で使っている印象ですね。
基本は、得意の角換わりで、切りあい勝負を好む武士みたいな将棋です。
森信夫門下は、兄弟子の山﨑八段をはじめとして、力戦を好みますが、やっぱり糸谷八段もその気が強いですね。
エピソード
お茶目なエピソードが多いのも人気の理由。
スィーツ大好きで、新聞に連載を持っていたり、早見えすぎて普通ならやらない天才的な反則をしてしまったり……
修業時代は、ネット将棋で、渡辺明二冠から「糸谷」狩りの被害にあっていたとかなんとか。
普及にも熱心で、最前線で戦いながらイベントをバンバン主催していたりします。今の将棋ブームの基礎をつくったひとりだとも言える貴重な存在です。
「プロ棋士の棋風研究<第2回 糸谷哲郎八段>」への2件のフィードバック