【冴えカノ特集】『冴えない彼女の育てかた』原作12巻・Girls Side3感想

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12巻感想

 メインヒロイン加藤恵との誕生日デートをすっぽかし、主人公安芸倫也が向かった先は、敵( 紅坂朱音 )の入院先だった。そして、訪れるサークル崩壊の危機。

 正直、主人公の決断は賛否両論ですね。ここでそれをするの?。変な言い方をすれば、今の恋人を待たせて、昔の思い出に走るような。恋愛感情よりも、友人が持つ才能を優先させた決断。正直、自分は支持できなかった。

 ただ、これは最新刊を読むと、また少し違った感想を持ちました。メインヒロインを特別に思っているからこその、一種の甘えなんだと思います。選ばれなかった2人(霞ヶ丘・ 英梨々 )は、そこまでの信頼関係を主人公と築けていない。そこに気がつくことで、自分たちがメインヒロインに完全に敗北したことを自覚しなくてはいけない。才能を特別視されているからこそ、恋愛面では特別に成り得ないという切ない状況です。これがあるからこそ、最新刊が面白くなっている。この巻は盛大な前振りになっている。

 1部で本来やらなければいけなかったこと。それを清算し、2人は新しい可能性へとむかっていく。すべてはこの瞬間のために存在していた。そんな気持ちになる読後感です。

Girls Side3 感想

 いやーおもしろかった。このシリーズで、1・2を争うほどの完成度。なんども転げまわり、奇声を発するのをがまんしました。それほど、胸がキュンキュンする。読み終わった感想は「神の存在をみた」とつぶやきました。

 自分が求めているラブコメの完成形をみせられた感じですね。嘘つきなメインヒロインの赤裸々な心境があらわになっていく。やっぱりあの行動は独占欲だったのかとか、思った通りあの発言には嘘があったとか。今までキャラクターの深部にかかっていたもやがすべて取り払われてクリアになった感じ。この意地っ張りな衣を脱いでいく過程が、非常にグッとくる。これぞ、ラブコメの王道。

 良い本を読んだときって、少しトリップ気味になるんです。読後感がフワフワしていて、いつの間にか時間が過ぎている。文字列が一気に頭に入ってきて、バラバラになって光り輝くような、そんな不思議な気分。神秘主義なんて信じてはいませんが、これが「神の存在をみた」という状態なんではないかなと思っています。なにもかもが面白くて、一心に集中できることでみえてくる不思議で幸せな世界。数年に一度だけしか味わえない貴重な読書時間でした。少し危ない話になっていますね(笑)。さて、本編の感想です。

 ついに、物語の終着点がみえました。今まで、本心を隠していた意地っ張りなメインヒロインが少しずつ崩れていく。それが、とても幸せな崩れ方をしている。どんなに、隠そうとしても、否定しようとしても、もう心にあるのだから否定することができない。主人公に対しての気持ち。

 他のヒロインたちとは違い、主人公に特別性を求めているのではなく、普通であることを求めている。だからこそ一緒に歩んでいくことができると確信している。もうそれは、「恋」という次元でもなく「愛」というものなのかもしれない。それをもつことができたから、彼女は選ばれた。強力なライバルたちですら、たどり着けない次元にたつことができたのだと思います。

 特に最終頁のメインヒロインの挿絵がすべてを象徴しています。すべてを乗り越えて、満ち足りた表情。ここに物語が収束するんだなという満ち足りた読後感です。ここに私は「神の存在」をみました。

 さて、最後に一番グッときた文章を引用して終わります。仲間たちに「主人公と付き合っていないのか?」と問われたメインヒロインの一言。

「別に付き合ってないよ……”まだ″」(205頁)

 いままで作ってきた物語が一気に収束していく。次でいよいよラストです。

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