目次
はじめに
さて、今日は棋譜並べについて語りたいと思います。
実際に棋譜並べって、難しいんですよね。このまえも級位者の方が難しくて悩んでいました。せっかく勉強するには、最大限効果を発揮するための前提条件などを書いていきたいと思います。
(プロの棋譜並べの前提条件)
・基本手筋をおぼえている(『羽生の法則』レベルをほぼ暗記している)
・9手詰くらい解ける
・寄せと囲い崩しの基本手筋をマスターしている
・並べる戦法の基本定跡(簡単な変化)を理解している(40~60手目くらいまで本を読まないでもわかる)
・並べる戦法の分かりやすい定跡書(できるかぎり最新版)
これくらいの実力を満たしていないと、解説を読んでもちんぷんかんぷんになってしまうと思います。たぶん、これを満たせばアマ初段以上の実力ですね(;’∀’)
ちなみに前提条件を満たしても、解説なしの棋譜はわからないと思いますw
解説有の棋譜でかろうじて、部分的にわかるくらい。
ここからは、もっとわかるようになるために必要なものをあげていきましょう。
・超優秀な先生(アマ四段以上)
・強い将棋ソフト(ぴよ将棋以上)
・プロの解説動画
この3点のうちどれかが欲しいです。
なぜなら、どうしてその手が選択されたか理解できない時に、教えてもらう必要があるからです。
先生をアマ四段以上に設定したのは、多くの人がその段階に達したときに、はじめてプロの手の意味がわかるようになったと言っているからです。つまり、自分はまだその域に達していません(笑)
私は基本的に技巧2を先生にしています。あとはNHK杯を録画しておいたりして、その解説を参考にしていることが多いです。abemaTVでは、過去の名勝負のアーカイブ配信があるのでそちらも利用。
これくらいの事前準備がないと、プロの棋譜はわかりませんw
おススメの棋譜
あと、おすすめは女流棋士の先生方の将棋を並べる方法です。
並べていない人も多いと思いますが、それはもったいないです。
そこらへんのアマたちよりもはるかに強い棋譜です。さらに、定跡も古き良き時代のものから、最新形までカバーできるのでアマチュアには特に勉強になると思います。対抗形や相振り飛車も多いですし。
特に嬉しいのは、わかりやすい詰みの形まで指してくれること。投了図から、引き継ぐと実戦形詰将棋に早変わりするので、とてもお得。
基本的な終盤の寄り手筋が披露されることが多いので、級位者や初段レベルの人はぜひとも取り入れてほしい勉強法だと思います。
実際、自分も女流棋士の棋譜並べを結構しています。
なので、実力upのために棋譜並べをしたいひとは、女流棋士の先生方の棋譜並べをするのがベターだと思います。
ちなみに鑑賞用に棋譜並べするときはこの限りではありません(笑)
コラム「 自分の変体将棋になった影響は棋譜並べのせいだと思った件について 」(2019.12.12追記)
こんな記事を書いていながら、あれですが私は棋譜並べ大好きなんですよね。
級位者のころからわからないなりに棋譜並べして楽しいって言っていたんですが、ちゃんと分岐まで確認しながら並べるようになったのは初段位から。
よし、有段者になったことだし、本格的に棋譜並べするぞと思い立つ。
①米長邦雄名局集を買ってくる。
②難しいけど、がんばって100局くらい並べる。
③いつのまにか終盤型の棋風に(笑)
完全に、米長邦雄永世棋聖の影響を受けちゃいましたw
矢倉が好きなのも、厚みが好きなのもそのせいですw
その後は、やっぱり一つの戦法の専門家になりたいと一念発起。
④中飛車名局集を買ってくる。
⑤さらに厚み重視の棋風へ変化。
⑥すべて並べたころには「厚みは正義、5五の位は天王山」
ここらへんでもかなり危ない奴なんですが、さらに次に選んだ棋譜が『名人木村義雄実戦集』でしたw
このころの将棋は、5五の位は天王山信仰の絶頂期ですw
相がかりから中飛車にして、5筋の位を確保みたいな戦法が大流行中でした。
そして、この本を私は一番並べているので……
しばらくすると、今のような「厚み」原理主義者が誕生したのでした。さらに、大正期~昭和初期なんかは結構序盤が緩いです。ええ、序盤下手の、終盤勝負の厚み重視という化石のような将棋になってしまいましたよw
たぶん、久保九段の実戦集→天野宗歩の棋譜集とかに繋がっていればさばき重視の棋風。
渡辺二冠や藤井猛九段の棋譜を並べていたら、序盤上手になっていたに違いない←
というわけで、意外と並べる棋譜は重要です。
自分のあこがれる棋士の棋譜をたくさん並べましょう。
私の次の目標は、『加藤一二三名局集』の全局制覇ですw
さらに厚み重視の棋風になりそうです(笑)
でも、加藤先生は序盤上手な印象があるので、すこしは序盤もうまくなるといいんですがw
定跡を理解するためには、専門家の棋譜を並べるといいという話
定跡の進化の歴史がわかると、その定跡が良く理解できると思うんですが、進化の歴史を詳細に書いてくれている本って意外と少ない。
思いつく限りだと『四間飛車の急所』・『四間飛車穴熊の急所』・『現代将棋の研究』などなど。やっぱり名著が並びます。
なので、ひとつの戦法を得意戦法にするために、戦法別に棋譜並べにおすすめする棋士を紹介していきます。
とりあえず、条件設定
・できる限り長い期間、その戦法で戦っている(ex:平成初期~令和まで)
・定跡の発展に寄与している
・専門家としてのブランドを確立している。
これらの条件を満たす人をピックアップしていきます。
振り飛車編
①四間飛車・角交換四間飛車
→藤井猛九段
ここはもう一択ですね。たまに矢倉を指しますが、平成の四間飛車歴史の中心にいたのは、藤井先生です。
若手だと、井出隼平先生や石井健太郎先生がノーマル四間飛車の専門家として有名です。女流棋士の先生だと、山根ことみ先生・中村真梨花先生が専門家として有名なので、要チェックです。
②中飛車
→近藤正和六段・鈴木大介九段
ゴキゲン中飛車の創業者と中興の祖をチョイスさせていただきました。
近藤先生は、ゴキゲン中飛車の創業者。中飛車の専門家で、並べるだけで、発展の歴史がわかります。
鈴木大介九段は、豪快な棋風で厚みのある振り飛車との相性抜群。参考になりやすいので、入れさせていただきました。
活躍期間が長いひとを優先したチョイスなのですが、最新形の参考には菅井竜也先生もイチオシです。
女流棋士は、里見香奈女流四冠・香川愛生女流が中飛車の採用が多いですね。
ちなみに、ノーマル中飛車は、大山十五世名人がおすすめです。
③三間飛車
→小倉久史七段・山本博志四段
師弟コンビをチョイスさせていただきました。
コーヤン先生も考えたんですが、コーヤン流は難しいので、比較的に真似しやすい下町流を選ばせていただきました。
山本四段は、最新形に定評がありますからね。上川香織先生が女流では専門家です。
④相振り飛車
→久保利明九段・菅井竜也七段・戸辺誠七段・西川和宏六段
相振りは対局数が少ないので、多めにピックアップしました。
菅井・戸辺両先生は00年代後半から相振り飛車の進化の中心にいました。久保九段は、純粋振り飛車党として、デビューから振り飛車党の中心にいたのでピックアップ。西川先生は、独自の相振り飛車“西川流”(ノーマル振り飛車の手順で戦う相振り飛車・四間飛車にすることも)がありますからね。
相振り飛車は、女流棋士の世界でさかんに指されているので、そちらを並べるのもおすすめです。今まで紹介した女流棋士の先生は相振り採用率も高いので、ぜひとも並べてみてください。
(以下、居飛車編を追記予定)
「【将棋】将棋で効率的な棋譜並べをする方法」への4件のフィードバック