
はじめに
ということで今日は、将棋本のレビューです。
武市三郎・美馬和夫共著の『奇襲の王様 筋違い角のすべて』(マイナビ)です。
武市先生はプロ唯一の筋違い角の専門家として有名です。引退してしまったのが残念。美馬さんは、アマ強豪の筋違い角の専門家。
両雄夢の共演です。これは買うしかない。
はっきり言いましょう。この本は「筋違い角」の決定版!
筋違い角をおぼえたいひと・やられると苦手な人。そんな人は絶対に読むべき本です。私もたまにやる裏芸という位置づけで、採用していたんですが、これを読んで目からうろこ。
開眼しましたw
昨日も将棋クエストの大会で6局中4局(内1局はまさかの「相筋違い角」でした)採用して、3勝1敗でした。500人中20番台の成績を残せたので、大満足ですw
筋違い角とはなにか
そもそも筋違い角とはなんだろうか。
基本図はこちら。

先手側から一手損して角交換。そして、筋違いに角を打ちこんで1歩得する戦法です。
【筋違い角のメリット】
・相手の振り飛車を強烈に制限できる上に、自分はほぼ確実に振り飛車を採用できる【=相振り飛車の可能性が低い】。
・相手の囲いが傷がある矢倉になりやすい。
・歩を得して、駒組ができる。
【筋違い角のデメリット】
・相手の持ち駒に角があるので、カウンターが非常に怖い。
・位を取られて、さばきを抑え込まれ負けるパターンが多い。
・陣形がやや特殊。
本書の内容
・筋違い角→四間飛車への変化。後手の位取りに対しての筋違い角側の対策

・相筋違い角
・居飛車ver筋違い角

・後手無理やり振り飛車の筋違い角などその他の戦型
・著者ふたりの実戦譜からの解説
・必死問題
こんな感じで内容がかなり充実しています。
特におすすめする点
四間飛車・相筋違い角・居飛車と基本的な定跡が一冊で網羅できるのが個人的には美味しかったです。
とりあえず、相筋違い角は必須として、四間飛車or居飛車編の自分の好きな方どちらかを読み込むだけである程度実践投入できるのもいい。コスパが最高です。
あと著者ふたりの実戦譜がすごくいいです。ぶっちゃけここがこの本の最高のポイント。
惜しげもなく大局観を披露して、力勝負になりやすい筋違い角の一局の流れがよくわかります。左をあえてゆっくり動かす。向かい飛車から火力を集中させて、敵陣を食い破る。アマのうっかりしやすいはめ手とか(笑)
筋違い角を得意としているひともかなり勉強になる棋書だと思います。
まさに本書は筋違い角の定跡書の決定版。
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