【自作小説】侵略宇宙人/孤島にて

侵略宇宙人(SF、新作)

【本文】
「相変わらず、勉強熱心ですね」
 部下のAは、私に言った。
 
 我々は、マリウス星人。
 移民先の惑星を求める者たちだ。

 故郷を失った我々は、宇宙に散り散りとなり、新しい故郷を探している。
 そして、我々はたどり着いたのだ。

 新しい故郷となるべき惑星に……。

「課長は、ずっとあの惑星のデータを見ていますからね」
 私は笑って答える。

「あの惑星、原住民は《地球》と呼んでいるが、あれは我々の希望なのだ。今回の作戦は、絶対に失敗できないのだ」

「それで、どうやって、あの惑星を奪うのですか? やはり、武力制圧ですか?」
 Aは、若者らしく威勢がいいい。

「あの惑星の原住民をなめないほうがいい。確かに、 宇宙関連の技術はまだ、発展途上だが、軍事技術に関しては優れたものがある。レーダーを無効化する飛行機、恐ろしい威力を持つ核兵器、ネットワークシステムを混乱させる技術。すべてが、宇宙規模でみても、一級品だ。武力衝突したら、われらも大きな損害を出してしまうだろう」

「では、どうやって、あの星を……」
 私はニヤリと笑う。

「わからないのか?」
「はい」

「寝て待てばいいんだよ。そうすれば、やつらは自慢の軍事力で勝手に自滅してくれるよ。じゃあ、俺は二百年くらい昼寝してくるから……」



孤島にて(ミステリーホラー、新作)

【本文】
 私たち四人は、今、無人島に閉じ込められている。
 
 サークルの夏合宿。
 不審死した大富豪が所有していた無人島でのキャンプ。
 大学生のバカなノリの三日間になるはずだった。

 でも、それが私たちにとって恐怖の三日間になってしまった。

 最初の日の夜。
 Aは死んでしまった。

 夕食のカレーを作った後、海岸の散歩に彼は行くと言っていた。
 私たちは花火の準備と片付けをしておくねと笑顔で彼を送り出した。

 私は台所で、食器類の片付け。
 Bは、花火の準備。
 Cは、テントの準備をしていた。

 私は、仮の台所で包丁などを洗っていた。
 肉を切ったので、包丁を丁寧に洗う。
 
 そうしていると、 花火の準備をしていたBの悲鳴が聞こえた。
 私たちは急いで、Bのもとにむかった。

 Aは、海岸で腹から血を流して倒れていた。
 Cが、脈をとってみたが、彼は首を横に振るだけだった。
 恋人を失ったBは、泣き崩れていた。

「もしかすると、この島には俺たち以外の人間がいるのかもしれない」
 Cは、真っ青な顔をしてそういう。

 私たちもうなづいた。
 このサークルメンバーに殺人鬼がいるなんて信じたくはなかった。

「今夜は交代で見張りをしながら、寝よう」
 Cの提案に私たちは同意した。

 二時間おきの交代。

 異変が起きたら、みんなを起こす。
 木の枝、ベルトなど、なにか、武器になるものを必死に集めた。

「おい、起きろ」 
 Cが私を起こした。
 どうやら交代の時間らしい。

「変化は?」
「特になし。大変なことになったな」
 Cは責任を感じているようだった。
 この合宿は、彼が計画したことだからだ。

「Cくんのせいじゃないよ」
 私はそう言って慰める。

「ありがとう。そう言ってもらえると、少しは気持ちが軽くなる」
「Cくん。まだ寝ないの?」
「ああ」
 私たちはしばらく雑談をかわした。

「実はさ。俺、おまえのことが好きだったんだ」
「どうして、このタイミングで」
「言えるときに、言っておかないとさ」
 彼の目は潤んでいた。

 私たちは、少しずつ顔を近づける。
 彼の吐息が、私を温めた……。

「武器になるものをここに置いておくね」
 私は彼にそう言った。

 朝起きたとき、C君の姿はなか った。
 私は、Bと一緒に彼を探した。
 そして、太い木に首をつった姿の彼を見つけてしまった。
 私たちは、泣き崩れた。

 二日目の夜まで、私たちは抱き合ってすごした。

 Aは、半狂乱だった。
 私もずっと彼女に抱き着いていたためか、手首が痛かった。

「どうしたの?」
 Aは私に聞いてきた。

「ちょっと、手首をひねっちゃったみたい」
 私はそう答えた。

 しばらくすると、Aは顔色が真っ青になって震え始めた。

「どうしたの?」
 私は心配になって聞く。

「私にわかっちゃったの。誰がみんなを殺したのか」
「本当?」
「うん」
「それで、誰が犯人なの?」
「私は殺される」
 彼女はなにかに取りつかれたかの ように、テントを飛び出した。
 私はあわてて、彼女を追いかけた。

「逃げないと、逃げないと」
 彼女はそう大声で叫んでいた。

「どうしたの? ねぇ、Aってば」
 私は彼女を必死に呼び止める。

「あなたは呪われている」
 崖の端で彼女は私にそう言った。

「どういうこと?」
 私はAに手を伸ばした。
 彼女は、何も言わずに崖から身を投げた。

「あっ」
 崖には、私だけが取り残された。
 風で、私の赤いワンピースがなびいている。

「みんな、いなくなっちゃたな」
 私はそうつぶやく。
 もう、誰も返事をしてくれなかった。

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【自作小説】海を求めた男/ば・く・だ・ん/詐欺師

海を求めた男(ヒューマンドラマ)

【本文】
 わたしは海をみたかった。
 我が故郷は山国である。

 あたり一面の緑と雪化粧。それはとても美しかった。
 わたしは故郷を愛している。

 だが、わたしは海を知ってしまった。
 青々とした美しいさと塩辛い水。ぜひともこれを見てみたい。

 家族は必死でわたしを引き留めた。それでもわたしはあきらめなかった。

 ある夏、ついにわたしは計画を実行した。わずかばかりの食料と水をもっての逃避行だ。
 海というものは東にあるらしい。わたしは東の方向にひたすら歩いた。

 1日、3日、1週間歩いた。
 しかし、山は続いていた。海はいっこうにみえてこない。

 途中、山賊に襲われ、わたしは命からがら逃げた。逃げた。逃げた。
 食料もほとんど無くなり、道中の親切な旅行者に塩漬け肉をわけてもらった。

 そして、わたしは今、山の頂上にいる。
 いったいいくつめの頂上かわからない。

 塩漬け肉をほおばり、水でながしこむ。
 しょっぱい肉と水が体にしみこんでいく。
 生きかえる。
 空を見上げた。雲ひとつない青空だった。

「海はこんなにそばにあったのか」
 わたしは清々しい気分でつぶやいた。



ば・く・だ・ん(ヒューマンドラマ)

【本文】
「火遊びはいけないよ」
 親はいつもぼくにこう言っていた。

 大人は本当に勝手だ。
 こどもに禁止しているのに、自分はライターやガスなど自由に使っている。

 ぼくだって火を使ってみたい。
 ぼくが口答えするといつもこう言う

「大人はいいの。火の使い方わかってるんだから」
 ある日、近所の家が火事になった。天ぷらの油の不始末らしい。
 家はとてもよく燃えていた。
 まるで、爆弾が爆発したみたいだ。

「大人だってちゃんと火をつかえてないじゃん」
 こころのなかでぼくはそうつぶやいた。

 そして、決心したのだ。
 ちゃんと火を使える大人になろうと。



詐欺師(ホラー、新作)

【本文】
 僕は人がいい。
 そんな風によく言われる。

 僕の短い人生の中で、何度も裏切られてきた。

 いじめの黒幕が親友だったり、恋人は僕のほかにも恋人がいた。
 彼らは、僕のお金が目的だった。

 だまされるたびに、周囲の人は僕に言うのだ。
「あなたは、優しすぎる」

 でも、それは間違っている。
 僕は、だまされているのではないのだ。
 僕は、彼らをだましているのである。

 すべては、僕の欲求のため……

 彼らが本性を明かしたとき、僕は高揚感に包まれる。
「ああ、これでまたひとり、僕は人を裏切ることができる」

 僕の服は、赤く染まっている。

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【自作小説】バイバイ/異教徒と聖戦

「バイバイ」

「バイバイ」
 彼女が最後に発した言葉はこれだった。
 もう夢のなかでしか会えないあのひと。

 最後のくちびるの味はもうおぼえていない。
 お互いに若かった。どうして、あんなことになってしまったのか。わからない。

 たぶん、彼女もそう思っているはずだ。
 もう日曜日の夕方。

 窓から見える風景もどんどん暗くなる。
 夕飯の買い物にいかなければいけない。

 ぼくは外に出た。
 歩いていると、彼女と似た背格好のひとを目で追ってしまう。

 こんなところにいるわけがないとわかっているのに。
「大好きだったよ」
 突然、彼女にそんな風に言われた気がした。

 涙があふれそうになる。暗くなっていく街にむかって、叫びたかった。
 のどが痛くなるほど叫びたかった。

「  」

 街灯が自分をあたたかく包んでくれていた。



「異教徒と聖戦」

 今日、ぼくたちの村は、異教徒によって占領された。
 彼らは、自分たちの信仰の聖地を異教徒から取り戻すために、ぼくたちの家に攻めてきた。
 大人たちは、必死に戦ったが……。

 ぼくたちは奴隷となるようだ。
 家にあった財産はすべてもっていかれてしまった。
 村の代表だった村長さんが、敵の兵士たちによって壇上にあげられた。

「処刑前に、言い残したことはないか?」
 敵の兵士は、冷たく言い放つ。

「きみたちは、どうしてわれらの村を占領したのだ」
「それは、われらが神のためだ」

「“神”。それはわたしたちが、信じる神とは違うのか?」
「ああ、違う。おまえらの“神”は偽物の神だ。わたしたちが信じる神こそが、正真正銘の唯一神である」

「そうか。では、おまえたちに、真実を教えてやろう」
「真実?」
「わたしが、真の神だ」
 村長さんは笑っていた。

「異教徒の上、神を語る不届き者め」
 怒りの表情をあらわにした兵士は処刑の準備をはじめた。

「異教徒であるわしらも、お主たちが信じている神によって創られたのではないかな」
 村長さんはなおも口を開く。

「ええい、早くこの者の口を閉じらせろ」
「おまえたちは、いま、“神”を殺すのだ」
 刃が村長さんの首にむかった……。

-数百年後-
「あなたは神を信じますか?」
 駅でそんな宗教勧誘にあった。

(科学全盛の時代に、神とか信じるわけないでしょ)

 おれはスマホをみて、勧誘を無視した。
 おれは哲学者の言葉を思い出す。
「神は死んだ」

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【自作小説】パン屋のおやじ

【自作小説】パン屋のおやじ(ヒューマンドラマ)

【本文】
 おれは小さいパン屋を経営している。
 超有名店というわけではないが、家族3人が食べていく分には問題ない。

 いわゆる、「町のパン屋さん」というのがしっくりくる。
 朝は4時に起きて、5時から勤務開始。

 サラリーマン時代によく遅刻していた俺が、よく続けられていると感心している。
 脱サラをする際は、妻が大反対すると思っていた。でも、こころよく賛成してくれた。

「いいじゃん、私パン好きだし」
「軽っ」
 思わず吹き出した。

 経営が安定するまではスーパーでバイトをしてくれて、今では仕込みの手伝いまでいる。
 口にはださないが、自慢の妻だ。

 生地をこねて、オーブンで焼く。
 同時並行で、バイトくんがパンの具のカレー、あんこ、クリーム、ウィンナー、焼きそばなどを用意する。
 バイトの山内くんも最近、慣れてきた。とても、頼りになる。

 そして、パンが焼きあがった。この瞬間、とても幸せな香りが調理場を包む。
 小麦とバターが作り出すあの幸せな香り。

 妻や山内くんといつもニヤニヤしてしまう時間だ。
 開店時間まで、あと15分。
 店にパンを並べはじめる。

 息子もそろそろ学校にいく時間だろう。
 最近、「お父さんの後を継いで、パン屋になりたい」といっているらしい。
 子どもに自分の仕事が認められるというのは、親冥利につきる。

 外では学生さんやサラリーマンの姿が見えてきた。
 もうすぐ、開店だ。
 今日も自分は生きていると感じている。

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【小説】夕暮れの墓前(ヒューマンドラマ)

夕暮れの墓前(ヒューマンドラマ)

【本文】
 わたしはいま妻の墓の前に立っている。
 妻は3年前に死んだ。突然の死だった。

 かえるの声と田んぼの野焼きの煙臭さにあふれたさびれた墓地。
 まわりには誰もいない。

 私は、持ってきた日本酒のふたを開ける。
 妻に飲みすぎだといつもいわれていた酒だ。本当になつかしい。

 これが最後の酒となる。安酒だが、最後はこれしかない。
 意識がどんどん遠くなる。ただ眠い。

「苦労をかけたな」
 いないはずの妻にわたしはこうつぶやいた。 

 落日だけがわたしと一緒だった。

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【自作小説】『不幸なおとこ』

不幸な男(ヒューマンドラマ)

【本文】
おれは、不幸だ。
世界一不幸だ。
今日も本当についてなかった。

朝は7時におきた。おきたくなかった。本当はずっと寝ていたかったのにだ。
でも、おきてしまった。
太陽がカンカンとまぶしい。こんなんでは二度寝もできない。なんと不幸だろう。

朝食は目玉焼きとトーストとサラダ。
半熟たまごとベーコンのうまみ。
バターがとろけたトースト。
さっぱりした生野菜にクリーミーなドレッシング。

だが、おれは和食が食べたかったのだ。味噌汁と魚の気分だった。
こんなことを妻に言ったら確実にけんかになる。
「うん、うまい」
こんなつまらないウソをつかなければいけない自分が悲しい。

でも、おいしかった。
会社に向かうために満員電車にのる。息苦しい。
こんなのって絶対におかしい。
痴漢に間違われたら一発で人生という名のゲームが終わってしまう。
人権侵害もいいところである。

会社についたらつまらない事務仕事が延々と待っている。今日は外出の予定もない。
なんて日だ。
10時のコーヒータイムしか楽しみがない。
こうなったら隠しているチョコレートも食べてやる。

昼休みになった。
延々と続くつまらない事務仕事もいったん休憩。
今日の昼飯は妻が作ってくれた弁当。
魚の照り焼きとたまご焼き。袋の中にカップみそ汁も入っていた。
これが朝食だったらよかったのに。肉厚の魚をむさぼりながらそう考えた。

昼休み明け大きなトラブルが発生した。
取引先に発注した商品がまだ届かないのだ。
昨日の午前中までが期限だったのに。

「おまえのチェックが甘いからだ」
と部長は大目玉。どうも新人が間違えたらしい。あのバカ佐藤め。

得意先に出向き、無理いって、手配してくれることになった。
こんな外出はいやだ。あとで佐藤に嫌味をいってやる。でも、無事に終わってよかった。

そんなトラブルのせいで定時を一時間過ぎての帰宅。コンビニでビールとつまみを買って帰る。
日は完全に暮れていた。まっくらな空にむかってため息とともにこうつぶやく。

「ああ、今日も不幸だったな」
と。

 

※小説家になろうにも投稿しています。

 

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