【創作論】掌編で学ぶ物語の終わらせ方

さて、久しぶりの掌編論です!
前回の創作論で、掌編やショートショートでは物語の構成を短期間で学べるので、経験値が高く美味しいという話をしました。

さて、そうは言ってもどう終わらせればいいのかわからない。
物語のたたみ方って難しいですよね。

なので、自作掌編を紹介解説しつつ、物語の終盤のパターンを3つほど紹介していこうと思います。



1.例1(オチをつける)

「侵略宇宙人」

【本文】
「相変わらず、勉強熱心ですね」
 部下のAは、私に言った。

 我々は、マリウス星人。
 移民先の惑星を求める者たちだ。

 故郷を失った我々は、宇宙に散り散りとなり、新しい故郷を探している。
 そして、我々はたどり着いたのだ。

 新しい故郷となるべき惑星に……。

「課長は、ずっとあの惑星のデータを見ていますからね」
 私は笑って答える。

「あの惑星、原住民は《地球》と呼んでいるが、あれは我々の希望なのだ。今回の作戦は、絶対に失敗できないのだ」

「それで、どうやって、あの惑星を奪うのですか? やはり、武力制圧ですか?」
 Aは、若者らしく威勢がいいい。

「あの惑星の原住民をなめないほうがいい。確かに、 宇宙関連の技術はまだ、発展途上だが、軍事技術に関しては優れたものがある。レーダーを無効化する飛行機、恐ろしい威力を持つ核兵器、ネットワークシステムを混乱させる技術。すべてが、宇宙規模でみても、一級品だ。武力衝突したら、われらも大きな損害を出してしまうだろう」

「では、どうやって、あの星を……」
 私はニヤリと笑う。

「わからないのか?」
「はい」

寝て待てばいいんだよ。そうすれば、やつらは自慢の軍事力で勝手に自滅してくれるよ。じゃあ、俺は二百年くらい昼寝してくるから……

2.例1解説

これは王道ですね。
物語にオチをつける。

「侵略宇宙人」は、太字部分のように人間の現状を皮肉るオチを用意しました。
分かりやすく言えば、「どんでん返し」のようなものを用意すればいいのです。

侵略宇宙人は、武力や謀略をつかって地球を攻撃すると普通の人は考える。
それを逆手にとって、人間の歴史の皮肉をぶつけて、静観すればいいという結末を用意してみました。

こうすれば、物語にオチがついて綺麗に幕を閉じることができます!

3.例2(終わらせない)

「不幸な男」

【本文】
おれは、不幸だ。
世界一不幸だ。
今日も本当についてなかった。

朝は7時におきた。おきたくなかった。本当はずっと寝ていたかったのにだ。
でも、おきてしまった。
太陽がカンカンとまぶしい。こんなんでは二度寝もできない。なんと不幸だろう。

朝食は目玉焼きとトーストとサラダ。
半熟たまごとベーコンのうまみ。
バターがとろけたトースト。
さっぱりした生野菜にクリーミーなドレッシング。

だが、おれは和食が食べたかったのだ。味噌汁と魚の気分だった。
こんなことを妻に言ったら確実にけんかになる。
「うん、うまい」
 こんなつまらないウソをつかなければいけない自分が悲しい。

でも、おいしかった。
会社に向かうために満員電車にのる。息苦しい。
こんなのって絶対におかしい。
痴漢に間違われたら一発で人生という名のゲームが終わってしまう。
人権侵害もいいところである。

 なんて日だ。
10時のコーヒータイムしか楽しみがない。
こうなったら隠しているチョコレートも食べてやる。

昼休みになった。
延々と続くつまらない事務仕事もいったん休憩。
今日の昼飯は妻が作ってくれた弁当。
魚の照り焼きとたまご焼き。袋の中にカップみそ汁も入っていた。
これが朝食だったらよかったのに。肉厚の魚をむさぼりながらそう考えた。

昼休み明け大きなトラブルが発生した。
取引先に発注した商品がまだ届かないのだ。
昨日の午前中までが期限だったのに。

「おまえのチェックが甘いからだ」
 と部長は大目玉。どうも新人が間違えたらしい。あのバカ佐藤め。

得意先に出向き、無理いって、手配してくれることになった。
こんな外出はいやだ。あとで佐藤に嫌味をいってやる。でも、無事に終わってよかった。

そんなトラブルのせいで定時を一時間過ぎての帰宅。コンビニでビールとつまみを買って帰る。
日は完全に暮れていた。まっくらな空にむかってため息とともにこうつぶやく。

「ああ、今日も不幸だったな」と。

4.例2解説

これもよくありますね。
あえて、終わらせない。
ちょっと、ずるい手法です。

例2の「不幸な男」ですが、この物語はまだ続きを書くことができます。
でも、あえてここで終わらせる。

よく週刊マンガ雑誌の、「俺たちの戦いはこれからだ」という打ち切りの仕方を思い浮かべてみればわかりやすいです。
あれと違うのは、編集さんではなくて、作家自身がそのタイミングを指定できること。

余韻が一番残る場所で、大胆に終わらせてしまう。
そうすれば、綺麗に物語を〆ることができます。

5.例3(感情を爆発させる)

「バイバイ」

【本文】
「バイバイ」
 彼女が最後に発した言葉はこれだった。
 もう夢のなかでしか会えないあのひと。

 最後のくちびるの味はもうおぼえていない。
 お互いに若かった。どうして、あんなことになってしまったのか。わからない。

 たぶん、彼女もそう思っているはずだ。
 もう日曜日の夕方。

 窓から見える風景もどんどん暗くなる。
 夕飯の買い物にいかなければいけない。

 ぼくは外に出た。
 歩いていると、彼女と似た背格好のひとを目で追ってしまう。

 こんなところにいるわけがないとわかっているのに。
「大好きだったよ」
 突然、彼女にそんな風に言われた気がした。

 涙があふれそうになる。暗くなっていく街にむかって、叫びたかった。
 のどが痛くなるほど叫びたかった。

「  」

 街灯が自分をあたたかく包んでくれていた。

6.例3解説

例1・2でも物語が終わらないのなら、ある意味最終手段です。
主人公の感情を爆発させる。

そして、その後に風景描写や手を差し伸べてくれる人を登場させて終わらせる。
やり方としては、2に近いです。

でも、2と決定的に違うのは、感情を爆発させてしまうことで、自分から余韻を作れるということ。
2は自然の流れを重視している一方、こちらは自分から流れを作っているのです。

だから、書き手は自分の好きなタイミングを自分から作れる。
ちょっと、強引すぎるかもしれませんが、これもよく使います。

7.総括

以上、私がよく使う3つの終わらせ方を書きました!
「未完の名作よりも、完成した駄作」という言葉もあります。

とりあえず、終わらせてみるというのは、書き手の読者に対する責任のようなものだと私は思います。
よかったら、ご参照ください。

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