【詩】「滝」/「ふとん」/「氷川」

「滝」

きょう、滝をみた。

みずが激しく流れ落ちていた。
その衝撃で周囲を濡らす。
わたしは、みずのカーテンに包まれた。

きょう、滝をみた。

みずは、まるでカーテンのようだった。
滝の裏側にいったい何があるのだろうか。
わたしには、なにも見えなかった。

きょう、滝をみた。

とおくで彼女を眺めているのに、ぼくには近くにいるように感じた。
少しだけど、体にみずを感じられる。
それは、まるで心のシャワーだ。

きょう、滝をみた。

滝は凍っていた。
みずは流れない。
おおきな、おおきな氷の壁がそこにあった。

ああ、生きているんだ。
わたしはそう思った。

「ふとん」

わたしは、ふとんにもぐる。
もぐったふとんは、まだ外気と同じくらいに冷たい。
わたしは、その冷たさが好きだ。
今日の出来事を思い返す。

わたしは、ふとんにもぐっている。
もぐっているふとんは、少しずつ温かくなっていく。
冷たさとあたたかさが同居する不思議な空間だ。
現実と夢がそこでは、同居する。

わたしは、ふとんのなかにいる。
もうふとんのなかは、温かかった。
あたたかさは、わたしを夢の世界へと誘う。
もう、わたしはふとんのなかにはいなかった。

「氷川」

朝、川を見た。

薄い氷が、川を包んでいる。
ところどころわずかに隆起し、ひび割れる川をわたしは見つめた。
息を少しだけ外にだす。
少しずつ白い煙へと変わっていく。

朝、川を見た。

薄い氷が、川を包んでいる。
小さな川だ。
庭の芝生を見つめる。
白いじゅうたんに変わっていた。
それは、道路まで続いている。

朝、川を見た。

薄氷に向かって石を投げてみる。
簡単に割れた。
それと同時に、石ではない物体が水面を跳ねた。
川はまだ生きていた。

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